じょじょに行ってじっくり変化するのか、一気に行って変革するのか
昨日は、Microsoftのパートナー向けイベントに参加してきた。パートナー向けなのに、ビジネスビジネスしていなくてかなり演出がカッコいいイベントに仕上がっていた。
とにもかくにも、Microsoftもメッセージはクラウド。この流れに、パートナーのみなさんも是非、付いてきてくださいという内容だったと思う。クラウドになると、リセラーなどのパートナーはビジネスチャンスが減る。これは事実だけれど、新たなビジネスチャンスも生まれるのだから、それにいち早くのってきてねってことだった。で、実際にMicrosoft Online Servicesをすでに活用しているパートナーの話が多数紹介され、これは乗り遅れたらいかんなぁという気にさせる内容だったと思う。
中盤の西脇氏のデモを中心としたプレゼンテーションはかなりいい感じにMicrosoftのクラウドの優位性を伝えていたと思う。GoogleAppsでスプレッドシート使うより、こりゃやっぱりWindows Live版のExcelだよなと思わせるには十分な内容だったと思う。さらに、開発環境もそのまま資産を継承できるというのは、Microsoft環境を長年使ってきた人には、かなりの安心感をもたらす。Windows Phone 7をさりげなく紹介するあたりもにくい感じだ。
と、書いてしまうとMicrosoftのクラウドがやっぱりいいんじゃないの、と一度のイベントによって洗脳されたかのように思われるかもしれない。たしかにいいものはいい。過去の投資やノウハウを継承できるのも評価できるし、さすがに天下のMicrosoftが本気出しているだけのことはあるなと思う。
継承できる、オンプレミスト共存できるというのは、現実的なクラウド参入の大きなアドバンテージでだ。しかしながら、逆にこれらのために一気にクラウドに移行はしないのかなと思っている。まずはメール環境だけMicrosoft Exchange Onlineに移行して様子を見る、なんていうのが顧客のスタートとなりそうだ。これ、ぜんぜん悪くはないんだけれど、かなり歩みは遅くなりそうな印象も。なんというか、いさぎよくないというか、思い切りがないというか。まあ、現実的には、まだまだパブリックのクラウドにはさまざまなリスクがあると思えば、致し方がないことであり、まさにこれが現実なのだとは思う。
そう考えていくと、逆にここのタイミングでSalesforce.comやGoogleAppsを選択する企業というのは、かなり潔い感がある。とくにSalesforce.comなんて選んでしまえば、大きく既存のシステムを捨てちゃう覚悟があるのかなと(実際はそんなことないだろうけど)。クラウドに移行することで、なんらか変化してやろうという意気込みを感じるのだ(私の勝手な印象だけど)。
ようは、これらクラウドのサービスのどれがいい、悪いという話ではない。個々の機能を比較すれば優劣は付けられるかもしれない。それで選ぶというのももちろんあるけれど、むしろ、その企業がどういう道を選ぶのかという先にどのクラウドサービスを選ぶの化があるように思う。今の現実的な解を求めていくとMicrosoftのなんでもできてオンプレミスと共存できるクラウドを選べばいいし、チャレンジで大きく変わってやろうとなれば、その際の手段としてSalesforce.comを選ぶというのがいいのではと思うのだ(Microsoftがこのときに選べないというわけではない)。
機能や性能とかではなく、自分たち企業の進むべき方向とベクトルが一致する企業のサービスを選ぶ。クラウドは、製品やサービスというよりは、その会社の姿勢を選ぶのかなぁ、昨日のイベントに参加しながら、じつはそんなことを考えてしまったのだった。