発想が素晴らしい三重大学の取り組み
この4月から、東京都が企業にCO2の削減義務を実施している。最初の結果が出るまでにはまだ時間がかかるが、あまり企業側が慌てているという話は聞こえてこない。
ところで、都内で最大規模のCO2を排出している事業所は東京大学だとか。そんな東京大学のCO2排出量を削減するために、グリーン東大工学部プロジェクトというような研究、活動で、CO2削減に務めているようだ。
大学のような機関では、場合によっては工場のように電力やその他のエネルギーを消費する実験施設があったり、教育、研究のためにエネルギーを使わなければならないものも数多くあるので、なかなか一律にエネルギー消費を減らすのは難しいらしい。さらに、研究のための予算は獲得できても、省エネのための予算確保もなかなか難しい現実もあるようだし。そういう意味では、省エネそのものを研究対象にするしかないのかもしれない。
そんななか、三重大学が、CO2排出量削減のための面白い取り組みをするというニュースが。「三重大、排出CO2を学生らの家庭と取引(YOMIURI ONLINE 2010/5/1)」がそれ。ようは、大学内で排出するCO2と、学生や教職員らの家庭でのCO2削減量を相殺する「カーボン・オフセット」の取り組みを始めるのだ。これなら、大規模な省エネ施設を導入する必要はない。さらに、地域全体でCO2排出量の削減へとつながることに(もちろん、三重大学そのものCO2排出量削減努力も必要ではある)。
これ、具体的にどのように進めるのかというと、
学生らが自宅で節電などに取り組み、電気やガス、水道料金の明細書を基に、前年より減少したことが確認されれば、削減量に応じてエコポイントを付与する
といった方法を考えているようだ。参加する側のやる気を上げる取り組みとしては、
CO21キロ・グラムあたり、学生2円、卒業生1円と換算すると、エコポイント費用は年間約400万円で、大学が全額負担する
ということで、ポイントを発生させそれを学内の生協やコンビニエンスストアに加え、学外のスーパーで利用できないか検討中だとか。たしかにこれなら、誰でも参加できるだろう(逆に考えると、前年より増えたら排出量プラスしなきゃなのかななんて思ったりして)し、やる気にもなりそうだ。この方法は、大学だけでなく企業でももちろん可能だ。三重大学でこれを是非とも成功させて、成功モデルを公開し、他の大学や企業へと横展開できればいいのかもしれない。