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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

システムをインテグレーションすること、プリパッケージドなものを選んで素早く展開することが重要

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 Oracle OpenWorldの3日目朝の基調講演のステージには、トーマス・クリアン氏が登場。いつの間にか彼は、データベースもミドルウェアも、さらにはアプリケーション製品群に至すべてのOracle製品を統括する立場の人になっていた。

 そんなわけで、彼のプレゼンテーションの対象はすべての製品、当然ながら短い時間で紹介しきれるものではない。Oracleでは、ここ1年間で3000を超える製品が提供されており、そのうち190はまったく新しい製品だとのこと。Oracleにこれだけの製品があることに、あらためて驚く。メンテナンスリリースが180以上、パッチも3200以上提供されているとか。これら製品の品質管理に費やした時間は、なんと1年間で延べ8000万時間にも及ぶとのことだ。

 Oracleではこれら製品をたんに横で連携するだけでなく、ミドルウェアを介し垂直に統合する。それにより、企業システムが真に統合できるようになり、その結果さまざまなメリットが生まれてくる。とくに有効なのが、ガバナンスやコンプライアンス、セキュリティのところ。システム間でのデータ受け渡しでたんに横につながっているだけでは、ガバナンスやコンプライアンスのための監視を自動化できない。結局は各システムから必要な情報を手作業で集め管理することになるのが現実だとか。Oracleのようにミドルウェアを介し垂直に統合できれば、自動的に情報を収集し管理できるので人手の介在をなくすことが可能になるとのこと。

 また、BIについても統合が重要。リアルタイムにBIを実現したければ、横連携でのデータの受け渡しではリアルタイムに企業全体の動きを把握することができない。現状ではまだまだ個々のシステムごとにレポーティングを行うためのBIツールを用意しているような企業も多い。これに対してOracle BIであれば、リアルタイムなBI環境が提供できる。ここでも、ミドルウェアによる連携とデータベース、とくに今回ならExadataのような強力なエンジンが登場したことで、リアルタイムなBIの実現に大きく貢献しているとのことだ。さらに、こういったBIの環境を手に入れるために、手作りでやるのではなくプリビルドされたものを使って、素早く展開することが重要だとトーマス氏は言う。

 これら利用の面からのミドルウェアによる垂直統合のメリットに加え、運用管理のメリットもOracleにはある。統合された環境をグリッドの技術でダイナミックにリソース管理でき、アプリケーションサーバーもデータベースも性能が足りなければすぐにリソースを追加し対応できる。その際にもシステムを止める必要がないというのが、Oracleのグリッド技術の特長だとのことだ。

 個々の技術自体は、今回のOpenWorldのタイミングでまったく新しく登場したというわけではなく、さまざまな機能や製品が確実に結びついて、現実としてグリッドの環境下で動いているのだよということを伝えるプレゼンテーションだったと思う。何かすごい新製品が出てきたというよりは、膨大な数の製品を確実に繋げて素早く統合して展開できるというところに価値がある。本当にそんなに簡単にできるのかとちょっと疑問はあるものの、Oracleの製品を導入すれば、手作りせずにすぐにその価値を手に入れられるのだと、じわじわとすり込むように伝える講演だったように思う。

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