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OOWこぼれ話 ののしりながら握手する関係

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 3日目のトーマス・クリアン氏の基調講演に引き続き、スポンサーセッションとしてデルのマイケル・デル氏が講演を行った。

 最初に、デル氏とラリー・エリソン氏をモデルにしたサンダーバード風の人形劇の映像が会場に流される。この2人がヒーローになって、レガシーシステムの問題を解決するというパロディーだ。

 まず最初にデル氏は、これからはEfficient Enterprise、つまりは効率的な企業になることが重要であり、そのためには標準化、シンプル化、そして自動化の3つの方策が必要だと言う。そして、x86こそが、世界でもっとも標準的なアーキテクチャであり、アプリケーションの90%はこのx86の上で動いているとの見解を示した。

 さらに、そのx86を採用しているのがもちろんデルであり、米国では5台に2台はデルのPCなのだとのこと。このようにx86を持ち上げているデル氏のステージに、突然エリソン氏が登場、スポンサーセッションにエリソン氏が登壇するなんて事は、もう10回以上もOpenWorldには参加しているけれど初めてのことであり、これはもうきわめて珍しいことだと思う。

 エリソン氏は、米国セブンイレブンの事例を引き合いに出し、デルとOracleはすでに長い間きわめて仲良くやっているよねとコメントして握手をするのだった。

 一昨日の日曜日には、さんざんSunを持ち上げ、SPARCのアーキテクチャはもっとも素晴らしいと賞賛したエリソン氏。そのエリソン氏が、2日後にはx86は最高というステージを行っているデル氏と、固い握手をするわけだ。このあたりは、バランス感覚というのか、あるいは政治というやつなのか。なかなか、見ていて面白い光景だなぁと思う次第だ。こういったことを目の当たりにすると、あれだけこきおろしたIBMとも、どこかではやっぱり握手するのだろうかとも。まあ、エリソン氏はプライドが許さないかもしれないが、社長のチャールズ氏あたりがIBMと握手しにいっているのかななんて想像してみたり。

 さて、エリソン氏と握手したデル氏は、お昼をはさんだ午後のセッションでは、Salesforce.comのCEOであるマーク・ベニオフ氏と握手することになる。この2人、企業のCEOとしての付き合いはもちろん、仲の良い友人同士でもあるということを、Salesforce.comのイベントで聞いたような憶えがある。

 今回のOpenWorldでは、たぶん初めてSalesforce.comがゴールドスポンサーとして参加してる。そのために、マーク・ベニオフ氏のセッションがキーノートとは別の会場で行われたのだ。このセッション、じつは大雨のなか入場を待つ人の長蛇の列ができるほどの人気だった。セッションの内容としては、いつもはこき下ろすMicrosoft、SAP、そしてOracleのオールドタイプのソフトウェアベンダーに対する批判のくだりこそなかったが、いつも通りに威勢のいいステージを、ベニオフ氏は展開していた。Salesforce.comにとってはOracleは大きなターゲットでもあるわけだが、Oracleはいまのところは表だってSalesforce.comをやり玉にあげることはない。Salesforce.comがOracle Databaseの大規模な顧客でもあるからかもしれないし、さらにはエリソン氏が個人的にも同社の株主でもあるからなのかなぁと、いろいろと想像してしまう。

 さて、明日に控えたラリー・エリソン氏のキーノートセッション。なんらかの興味深い発表がなされるとの噂がある。現時点でのまるで勝手な想像だけれど、Oracleがデータベースを中核とするクラウドのプラットフォームサービスを始めるなんていう発表も、少しは可能性があるのかなぁなんて。もしそうなると、誰が誰と握手して、誰が誰を口撃することになるのかなぁなんて空想してみたり。

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