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クライアントのノートPCもすべて仮想化が実装される時代がくる

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 先日、CitrixがXenDesktopの新しいバージョンについて発表を行った。すっかり仮想化の会社になったCitrixだが、今後のデスクトップ・コンピューティングの戦略についても解説があった。

 XenDesktopのことについては、下記を参照してほしい。

 特徴的なのは、ローカルマシンのUSB機器が、そのままサーバー側に置いてある仮想化された環境の機器としてそのまま利用できるというところ。このあたりは、現在の通常のPC環境より仮想化デスクトップは使いにくいなぁというのを大きく改善するところではある。まあ、セキュリティリスクは新たに出てきそうなので、その辺のルールとか仕組みは別途必要になりそうだけど。

 この発表の後に、USから電話でプレゼンをするという形で、今後のデスクトップ・コンピュータ戦略についての解説が行われ、5つの予測が示された。

  1. ノートPCは企業の所有物ではなくなる
  2. 企業はデスクトップ管理よりもコーヒーやオフィス用品に費用を使うようになる
  3. (現在のEメールのように)その時に応じて最も便利なあらゆるデバイスからデスクトップにアクセスするようになる
  4. 同じデバイスで仕事用と個人用のデスクトップを簡単に切り替えるようになる
  5. PCが遅いという不満が二度となくなる

 この中の1番目はどういうことかというと、クライアントのノートPCにも仮想化が搭載されるということ。これはIntelとの協業で、ベアメタルなXenハイパーバイザーをあらかじめ組み込んだノートPCが今後は出てくるのだ。時期は米国で2009年の下半期、ノートPCのメーカーからOEMの形で提供されることになる。イメージとしてはこんな感じ。

 仮想化ってどちらかというとサーバーでの話という感じだったが、クライアントのノートPCにまず最初にOSが入っているのではなく、ハイパーバイザーが入っているようになる。で、ユーザーはその上に個人用のOS環境と仕事用のOS環境(デスクトップ)を置くイメージだ。これで、会社はノートPCを貸与する必要がなくなるのだ。この仕事用の仮想化環境では、当然ながら会社にあるサーバーからデスクトップイメージが転送されてくることになる。個人でノートPCを買ったとして、それを仕事用に使うんだけど、その際にはたんなるインターフェースとして使うのだ。もちろん今でも、たんにWindow環境にデスクトップを転送してくるだけでもこれはできるといえばできるわけだけど、クライアントを仮想化することで個人用と仕事用の環境をきっちりと分離できるというのが大きなメリットなのだ。

 こうなれば、企業はノートPCに投資しなくていいからそのぶんをコーヒー買ったりという予算に充てることができるというのが2番目の予測。これを実現する技術はすごく目新しいって話ではないけれど、いくつかのことをきっちりと組み合わせ具体的に完成されたノートPCの形で提供するというところが新しい戦略になっている。この仕組みを企業で利用するかどうかは、企業のコンプライアンスとかセキュリティポリシー上どうよって話もあるけれど、利便性とかコストとか考えたら、企業側で固定資産管理しなくていいとかいろいろとメリットはありそうだ。

 で、ちなみにこのプロジェクトのコードネームは、「プロジェクトインディペンデンス」というらしい。Citrixは、デスクトップ環境の「独立」を目指し、デスクトップをサービスとして提供していくらしい。

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