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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

テストが日本のITを強くする!?

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 オラクルという会社は、いつのまにやらテストツールベンダーにもなっていたとのこと。オラクルの動向は追いかけているつもりだったけれど、最近幅広すぎてフォローし切れてないなぁと実感。

 本日発表されたのは、Oracle Application Testing Suiteというやつだ。これはもともとは、Empirixのe-Test Suiteで、2008年6月にWebテストの部分がOracleに統合したものだ。

 システムの開発においては、ここ最近は開発のところはかなり効率化が図られている。たとえば、SOAだって開発を効率化するし、プログラミングの標準化だったり、オブジェクトというかプログラムの再利用なんかもかなり進んでいるのは事実だろう。実際開発ツールもかなり進化しており、ここ最近一からエディターでコードを書いていないというプログラマーもいるのではないだろうか。

 開発は効率化しているけれど、開発期間はそれにも増して短くなる傾向がある。なので、コードの量は増えているのに、より一層テストに避ける時間は少なくなっているかもしれない。また、最近ではISOの対応なんてことで、テストに絡んだ書かなければならないドキュメントの量も増えている。さらに、これくらいのコードの量ならこれくらいのバグがあってしかるべきということを発注元から言われたりもするので、テストは開発現場において相当な負担になっているようだ(自社の開発現場の状況を端から見ていてもそのあたりの苦労はひしひしと伝わってくる)。

 であるからして、テストをなんとかしないとならんということだ。1つの解決策がツールを使った効率化。自動化したりテスト工程全般の適切な管理で、結果的にはさまざまなコスト削減につながると言うことだ。とはいえ、たいていのテストツールはけっこう高価だ。今回発表のあった5人ほどのテスターが使う環境を整えると、すぐに数百万円というオーダーになる。全体の開発規模が数千万規模だと、数百万のテストツールの比重はそれなりに大きく感じるはずだ。

 考え方としては、テストツールの費用を開発の初期段階のコストとして見ないようにすることだと言う。テストというものをライフサイクルでとらえれば、多少コストのかかるツールを導入してもトータルではかなりコスト削減につながり、延いてはシステムの品質向上にもつながるというのだ。一度作って完璧なら問題ないが、利用を開始してから改修される。そうすると当然またテストが必要になる。開発で効率化を実施した結果、さまざまなモジュールが再利用されていたりすると、あるモジュールのほんの一部を修正しても、それが全体のどこに影響するかがよく分からない。となると、すべてに対してテストが必要になる。そんなときにはツールがあれば確かに効率化する。カットオーバーに一度だけ使う物ではなく、そのシステムを継続的に改修し運用していくためにこそ、テストツールの存在価値が出てくることになる。

 実際にテストに携わるエンジニアは、おそらくいいテストツールがあれば欲しいし使いたいと思うだろう。ただし、下請けの末端の開発者だったりすると、なかなかそれを提案できる立場にはないだろう。一次受けをするSIerやエンドユーザー自身がテストツールの有効性を理解すると、たしかに日本のITの質が向上するのかもしれない。

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