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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

SaaSってまだ信用ないんだなぁ

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 SaaSは外部にデータを預けるので不安だ、と言う話がある。これに対してSaaSのベンダーはよく、「お金はタンスに入れておくより銀行に預けるほうが安心ですよね」と説明する。

 上記の記事によると、東京薬科大学の場合は医療情報という機密情報を扱うので、外部にデータを預けるのは不安ということで、SaaS型のサービスを採用しなかったという。これはまさに、タンスのほうが安全という考え方だ。もちろん、この場合はタンスではなくて、立派で安全な金庫を学内に設置することになるわけだ。

 実際のところ、SaaSは安全ではないのだろうか? 個人的には、よっぽどしっかりした自社データセンターを持っていて、確実に管理できる仕組みと体制を敷けるならば、そりゃあ自社内運用のほうが安全かもしれない。がしかし、ここ最近は大抵の会社ならば、SaaSのほうが安全ではと思っている。もちろん、SaaSならばどこでもいいわけではない。セキュリティ認証などを取得していることが、この場合の安全の条件となる。

 Google Appsはどうだろうか? 個人的には安全だとは思う。とはいえ、万全ではないだろう。何をもって安全だと判断するかは、最終的には利用するユーザーだ。東京薬科大学の場合は、何らかの検討の結果、Google Appsは安全ではないと判断したのだろう。

 ところで、いったいどれくらい安全性について比較したのだろうか。詳細はよく分からないのであくまでも想像の域を出ないのだが、実証実験したとか詳細なシミュレーションを行ったということではなく、実際のところは「なんとなく不安」だったのではないかと予測している。

 記事によると、Google Appsが障害で数時間利用できなかったといったことも、どうやらマイナス要因となったようだ。とはいえ、学内のサーバーに障害が発生した際には、どれくらいの時間で復旧できるのだろうか? 仮に瞬時に復旧できるようにするとなると、ホットスタンバイでの多重化をサーバーやネットワーク装置に施し、さらには回線の冗長化なども実施しなければならないだろう。なによりも24時間365日の監視体制も必要になるわけで、そのコストは莫大なものになりそうだ。このあたりも、コストと復旧時間を考えたら、SaaSの選択もありなのではと思っている。

 SaaS型にメリットがあったとしても、それが十分にユーザーに伝わっていないというのが現実なのだろう。そういう意味では、SaaSってまだまだだよねってこと。誰もが不安なく使えるサービスとは言えないわけだ。2008年はSaaSやクラウドが一躍脚光を浴びて、一気にメジャーデビューを果たした年だったと思う。そして、2009年は、SaaSやクラウドにとっては2年目は不調になるというジンクスを打ち破り、誰もが十分に納得できる確実な実績を見せつけなければならない年、ということになる。

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