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国際会計基準へのコンバージェンスは攻めの経営のきっかけ

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 午前中は、SAPの国際会計基準、それに伴う今後の連結会計に関するソリューションの説明会に参加してきた。

 連結会計というと、制度上の連結の処理をいかに効率的に行うのかという話が思い浮かぶ。Excelベースでいまだ各国から決算データを集めている状況を、システムを活用して自動化したり、それによってコンプライアンスにも対応できるようにする。もちろんこれで、経理部門の手間もコストも削減できるかもしれない。

 こういうオペレーション部分とは別に、グローバルな企業の国際会計基準への対応というのが連結会計にはからんでくる。そのためのアプローチには2つあり、まず全社のベースを国際会計基準にしてしまって、各国とのギャップを埋めるという方法。もう1つが、各国はローカルルールに沿って会計処理を行い、最終的に集めた結果を国際会計基準に合わせていくというもの。最初の痛みは大きいかもしれないけれど、個人的にはこれから臨むならば全社をまずは国際会計基準のベースにもっていってしまうというのが、長期的にみればかなり効率的に思える。

 今日のSAPの説明会のなかで、なるほどなと思ったのが、国際会計基準へのコンバージェンスは、経理業務の効率化のきっかけではないという話。これは、もっと大きな経営コストの話であり、ただ数字を合わせて正しい数字を導き出すというのではない。グローバルな企業の中長期的な競争力を高める活動のきっかけなのだということだ。だからなのだろうけれど、SAPの連結のソリューションはEPM(Enterprise Performance Management)の分野に位置づけられている。

 それともう1つ。今後のグローバル企業は、子会社の体制も含め「シェアードサービス化」がけっこう肝になりそう。さまざまな規制やら対応すべきことやらがたくさんあって、大手なら自社にそれに対応する要員をそれぞれに配置することもできるが、子会社だったり海外の買収した法人なんかにそういったりソースを確実に配置するのは難しい。まして、現地対応も国際基準対応もなんてことを各国、各社の現場に求めるのは酷な話だ。だからこそシェアードサービス化。来年は、シェアードサービスって言葉が、もっと頻繁にIT系のニュースにも登場するようになるかなと思った次第だ。

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