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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

仮想化ベンダーの棲み分け

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 MicrosoftからHyper-Vの提供が始まり、いよいよもって仮想化製品を提供するベンダーがそろい踏みという状況ができあがった。

 とはいえ、各ベンダーは、同じ仮想化のためのソフトウェアを提供しているのだが、微妙に棲み分けをしていると感じている。先行しているVMwareは、インフラにいかいところでの活躍が期待できる。ソリューションの方向性としてはサーバーコンソリデーションやディザスタリカバリなどのところだ。

 XenSourceを買収したCitrixは、もちろんサーバーコンソリでも活躍できるかもしれないが、本領を発揮するのはもともと同社がPresentation Serverで培ってきたいわゆるシンクライアント、デスクトップの仮想化と組み合わせたときだと思われる。

 もっとも出遅れたMicrosoftは、じつは個人的にはどこがターゲットになるのかいまだあまり理解できていない面もある。すくなくともWindowsという環境のなかでのリソースの有効活用というところでは力を発揮するはずだ。しかしながら、OSとの結びつきがあまりも強すぎると、仮想化の価値をユーザーが実感できるかどうかがちょっと不安でもある。

 もっとも異色な存在が、Oracleだと思っている。先日もIBM、アシストとの仮想化での提携が発表されたが、彼らは仮想化というものをコモディティ化した技術にしようとしているように感じる。

 Oracleは、仮想化ソフトウェアのOracle VMを無償で提供する。もちろん各社無償のライセンスを提供している部分もあるが、Oracleはライセンスで稼ごうとは思っていないようだし、サポートもビジネスとして行うがここでも大きな利益を見込んでいるとは思えない。むしろ仮想化というのを1つの機能としてとらえ、アプリケーションやデータベースというミドルウェア部分を、いかに効率化できるかの手法の1つと捉えているように思う。

 他社のソリューションが、ハードやOSといったところでの協業となるのに対して、Oracleではその上のアプリケーション、データベースを含めた協業が鍵となる。サーバーを仮想化し統合することではなく、仮想化されたサーバーの上でデータベースをいかに効率的に動かせるかが重要なのだ。

 異色なOracleが仮想化で圧倒的なシェアを獲得するかどうかは分からないが、他社が比較的ハードウェアの効率的な利用に寄っている現実からすると、データベースやアプリケーションまで含めた仮想化というのはより上位の概念には思える。

 実際にはまだまだトランザクション処理は仮想化では苦手だと言われているが、今後CPUやハードウェアの進化がなされてくれば、そのあたりも解消してくるだろう。その際に自分たちは仮想化という技術に何を求めているのか、災害対策なのかデスクトップの仮想化なのか、はたまたWindows環境の集約なのか、アプリケーションレベルでのリソースの効率化なのか。それを明らかにできないと、自分たちにとって理想的な仮想化ベンダーを選ぶことはできないのかもしれない。

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