SaaSはNGNのビジネス利用のキラーアプリになるのか
自宅はまだ、NTT東日本のコンシューマ向けNGNサービスである「フレッツ光ネクスト」のサービス対象範囲には入っていない。そのためもあり、取材先や記事などでNGNの話を聞いても、いまひとつ実感がないとというか、NGNのすごさみたいなものがよく分からないのだった。
とはいえ、世間はNGNに注目している。世間はというのはもしかしたら誤解で、マスコミというかメディアは注目している、と言ったほうがいいのかもしれない。昨日行われたNGNの技術を利用するVPNで、Salesforce.comの米国サイトにセキュアに接続するサービス提供開始のプレス向け発表会には、NHKのTVカメラまで入り会場は記者で満席状態だった。
発表の詳細は、ITmediaや@ITの記事で確認して欲しい。
SaaSのサービスにおいて、重要な情報を他人に預けるのが不安というユーザーの声に対しては、いかにSalesforce.comのデータセンターが信頼性があり安心できるかをアピールすればいい話だ。実際、セキュリティに厳しい企業であっても、データセンターを利用していところは多いはずなので、この誤解を解くのはそれほど難しいことではない。ところが、そのデータセンターにインターネット経由でアクセスするというのはさらなる不安だという話になると、Salesforce.comにとってはこれまであまり対処できる方策を示せなかったわけだ。実際、これまでにもVPN経由でSalesforce.comのサービスを利用したいという引き合いはあったとのこと。
それを解決するのが、今回のサービスの大きな特長ということになる。とはいえ、必要なのがVPNだけならば、べつにNGNじゃなくてもいいじゃんって話か。NGNの強化された認証機能であるとか、品質の確保といった機能を、SaaSでどう活用できるかが表に出てこないと、NGNとSaaSを組み合わせるメリットはユーザーにはなかなか伝わらない。
今回の連携ではNGNの認証強化部分は利用されるようだが、当面はQoS部分はサービスとしては組み込まれてこないようだ。VPNでQoSということになれば、専用線で専用システムを利用するの大差ない環境が確立できそうなものだが。個人的には認証技術の強化よりも、QoSを如何に活用できるかがNGNの真価なのではと思っている。
SaaSはどちらかというと手軽に利用できるところで普及してきた面があり、それとNGNを組み合わせたときに「手軽だけどとってもセキュアで高品質」というのがもっともっと現れて、ビジネスで利用するならここまでやらないとという雰囲気が出てくれば、SaaSがNGNのキラーアプリになることは間違いなさそうには思う。
そうでないと、NGNはいまより高速な回線で動画なんかもきれいに見られるらしいというレベルの認識からは、なかなか抜け出せないような気もする。NGNもSaaSもIT業界の期待の星だ。とはいえ、とくにNGNは前評判はかなりいいけれどまだ具体的な成果を示せていない気がする。ここらでガツンと満塁ホームランとはいわないが、着実に点を稼げるクリーンヒットを見せて欲しいところか。
とにもかくにも、新物好きの自分としては早くNGNを経験してみたいなと。フレッツ光ネクストよ、早く我が家においでおいで。