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ガイドラインが待ち遠しい

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 米国オラクルが増収増益だとのこと。アプリケーション製品の買収効果で、SAPのシェアを奪っているようだ。伸び率はそれに劣るが、母数の大きなデータベースとミドルウェアの新規ライセンス収入も、二桁の成長を維持しているとか。

 ところで昨日、日本オラクルは新たなセキュリティ関連製品を発表した。オラクルがデータベースの会社というのは誰でも知るところだが、SOAやBIなど新たな領域においてもブランディングを高めようとしており、セキュリティもそのなかの1つ。

 今回発表されたのは、そんなセキュリティブランドを高めるデータベースのオプション製品Oracle Database Vault。いくつか意味はあるが、この場合のVaultは貴重品保管室といったところか。実際の機能はアドミニストレータ権限を制限し、より細やかなアクセスコントロールを実現するというもの。

 話を聞くだけだと、あまり凄そうに感じないかもしれない。ポイントは、この機能が現状では他社製データベースに搭載されていないところ。世の中には、数多くの内部統制対応ソフトウェアなるものがあるが、これもその1つに分類できる。今後明らかになる日本版SOX法(金融商品取引法)の具体的なガイドラインとなる実施基準で、データベースはこういう機能を有しているべきだというようなことになれば、Vault機能の搭載は一気に市場の追い風になるかもしれない。

 もちろん、ガイドラインにVault機能がなければならないと具体的に名指しされるわけではないだろう。しかし、データベースの管理者権限とアプリケーションやデータのアクセス権限を分離できる必要あり、と解釈ができる記述があればいいわけだ。

 昨日の発表会で日本オラクルの常務執行役員システム製品統括本部長 三澤氏は、2007年5月までに約30件のリファレンスカスタマーの獲得を、翌年度にはさらに200件の導入を目指すとか。ガイドラインの内容によっては、この200件という数字は随分と控え目なものになるかもしれない。

 ガイドラインがどう記述されるかで、各社の内部統制対応ソフトウェアの売れ行きに影響が出る可能性があるということか。19日に新たに「新しい金融商品取引法制について」という、20ページに及ぶパンフレットが金融庁のサイトに公開されているが、ガイドラインはまだのようだ。待ち遠しく思っている人が、きっとたくさんいるはずだ。

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