ハワイにオフィスをという夢を見続けられるか
マイケル・デルのMSDキャピタルと関連投資グループが、ハワイの高級リゾートホテルを買収するらしいという話が、私の好きな@ITのコラム「Spancer F. Katt」に出ていた。かといって、マイケル・デル氏がハワイでお仕事をするというわけではないだろう。
友人と会社を立ち上げた当初、その友人と飲んだ席などで本気ともそうでないともいえるような話題として、将来ハワイにオフィスをもちたいという会話をしていた。ハワイに強い思い入れや深い意味はなかったのだが、なんとなく「ハワイにオフィスなんていいんじゃない」という「ノリ」だったように思う。ハワイにオフィスがあったなら、優秀な人間を採用できるかも、なんてことくらいは考えていたかもしれない。
急激に成長しているセールスフォース・ドットコムのCEOであるマーク・ベニオフ氏は、ハワイに拠点をもっているそうだ。氏はなにか重要なことがあるときは、ハワイでその結果(朗報)を待つことが通例だとか。ちなみに、サンフランシスコの氏のオフィスの前には、本物のサーフボードが飾ってあるくらいなので、相当に海は好きそうだ。
彼のようなビジネスの成功者がハワイにオフィスをというのは、驚くことではないのだろう。ところで、小さなソフトハウスが、ハワイとはいわずとも沖縄や北海道など都会を離れ「環境のいいところ」にオフィスを構えるというのならできそうな気もする。ネットワークさえ繋がっていればIT関連の仕事はどこでもいいのでは、とも思うが現実はそうもいかない。
実際、顧客企業のほとんどは、首都圏などに集中している。営業活動や打ち合わせには、そこに赴く必要がある。顧客とのあいだでネットを利用したテレビ会議というのは、いまのところ非現実的だ。開発作業も、いまだ客先に常駐することが多い。このような状況では遠いところにオフィスを構えても、週のほとんどを首都圏への出張に当てなければならない。実際、九州などにオフィスを構えている会社が、東京に営業部隊や開発の一部を移して作業している話はよく聞く。コストはかかるが、地元だけではなかなか会社を運営していくだけの仕事が得られないのが現実なのだ。
一方では、もっと遠く離れた中国やインドに開発を委託する動きが加速している。コストも品質も手元での開発より優れていることも多々あるとか。特にインドでは、品質的に高いサービスが提供されていると聞く。ハワイにオフィスをなんて夢ばかり見ていると、オフショアの風に吹き飛ばされ海の藻屑となりかねない。これからは、インドや中国にオフィスを構えることを、真剣に考えたほうがいいのかもしれない。