シェア数字の読み方
相次いでガートナーとIDCが、DB市場シェアの数字を発表している。今回の結果の順番については、とくに驚くような変化はなかったと思う。
もっとも、ここに出てくる数字の小さな変化や調査会社ごとの違いは、さして重要なことではない。シェアの数字にはさまざまな算出方法があり、その方法は各調査会社のノウハウそのものだ。今回のガートナーの数字は、従来の新規ライセンス販売額を元にしたものから、アップデートやホスティング、メンテナンスといったものの数字も加味するようになったとのことなので、前年からの経年変化を直接この数字で比較することはできない。
双方の結果で、マイクロソフトのSQL Serverが、市場全体の成長率よりも大きく成長しているというのが今回の特徴の1つだろう。サーバーOSの実数では、Windows環境がまだまだ多いということがこの結果からも想像できる。OSの成長率ではLinuxが著しく伸びているようにも感じるが、それはそもそもの母数がまだ小さいので、成長率が高いということになるのだろう。
そもそも同じ条件で各社が業績を開示していないので、情報がはっきりしないところは「予測」するしかない。当然数字には、誤差が含まれているはずだ。同じ会社の調査数字から経年変化や市場全体に対する傾向を読み取るのが、賢いシェア数字の使い方であろう。
データベースのシェアの話ではないが、かつてとある製品の担当をしていた際に、売れ行きに関して雑誌の取材を受けたことがある。当時その製品については、売り上げを公表していなかったので、記者の方からいくら質問されてもはっきりした数字を答えるわけにはいかなかった。仕方がないのでイエスでもノーでもない、のらりくらりとした応対に。結局、記者の方が示した数字を否定しなかったところ、記事になったときには実際よりもかなり大きな売り上げが予測として掲載されてしまった。ライバル企業にとっては、ちょっとあわててしまう数字だったかもしれない。いまさらながら、たいへん申し訳ない。
シェア数字の、数ポイントの変化をもって一喜一憂する必要はないのだが、製品のマーケティング担当者はこのシェア数字に惑わされることがある。本人たちが惑わされなくとも、この数字をみた営業担当や経営層から「どうなってるんだ!」とどやされることがある。これに対応するには、さまざまな結果を参照し、数字を正確に読み解く能力が必要だ。とはいえ、結果をあまり素直に上に報告してしまうと、さらにどやされることになるかもしれないが。