オルタナティブ・ブログ > むささびの視線 >

鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

適度に粗結合のほうがうまくいくのかもしれない

»

 昨日、インフォマティカ主催のエグゼクティブセミナーに参加してきた。インフォマティカといえば、データウェアハウスのETL(Extract Transform and Load)ツールベンダーとして有名。ETLベンダーから脱皮し、システム統合へと領域を大きく拡大しようとしているとのこと。

 セミナーのなかで、ファイザー製薬さんの事例紹介などを拝聴していて、世の中まだまだメインフレームも健在で、WindowsやUNIXなどさまざまなヘテロシステムを多数抱えている現状があり、昨今の企業M&Aなどによってさらにさらに混沌とした世界が生まれつつあるようだ。

 一方的に片方のシステムを切り捨てたり、これ幸いとビッグバーン型でERPを導入するというのでもない限り、情報システム部門の担当者はいかにしてこれらのシステムを連繋させデータの整合性を図るかに頭を悩ますことになる。そこにEAI(Enterprise Application Integration)やらWebサービスやらSOAやらの技術が登場してくるわけだが、最新で高度な技術になるほどリアルタイム性やオンデマンド性といった「密なる結合」が売りだったりする。

 ところが実際は、バッチなどの「粗なる結合」がまだまだ主流のような気がする。というか、もちろん求めるところはリアルタイム性なのだが、現場の要求をよくよく咀嚼してみると速度がでるならバッチでも十分で、そもそもメインフレーム側の制限でバッチしかできないなんて状況も多々発生する。それを無理矢理リアルタイムにするために、さらに無理して中間システムをこしらえてより物事を複雑化してしまう現状もあったりするようだ。

 無理してデータを自動的に連繋させる仕組みを作り上げても、業務プロセスがシステム連繋と連動していないなんてことも発生する。結果として偽りのデータがシステム間でやりとりされ、あとからデータを修正するといった手戻り作業が新たに発生することも。プロセスの中間でデータ整理作業をする人間を1人雇っておくコストと、新たに大規模なシステム・インテグレーションの仕組みを構築するコストを比較すると、システムコストのほうが遙かに大きかったりするので、さらに問題はやっかいなものに発展する。

 途中で人が介在するというリスクは、今後の内部統制実現の際にどれだけ問題視されるのだろうか。ここがそれほど厳しくないのであれば、コストの高い密結合よりも現実的な粗結合と人の介在の組合せをうまく活用するほうがシステム統合そのものは、うまくいくのかもしれない。

Comment(0)