EMCの期待とNECの思惑
NECとEMCのアライアンス強化の発表会に、昨日参加してきた。日経の朝刊にすでに報道されていた件にもかかわらず、会場にはTV取材のカメラまで入ってかなりの熱気を帯びたものだった。
ところが、発表後の質問は比較的穏やか。もっとも熱気を帯びた瞬間は、両社が手を取り合った写真撮影のとき。発表会終了後に知り合いの記者さんと意見交換した際に、今日は2社のアライアンス発表の内容よりも、新体制となったNECの今後を占う部分に興味のあった記者がたくさん来ていたのではとのことに。そうであれば、業績の見通しや今後のマーケット感などについて、もっとシビアな質問が飛んでもよさそうなものだ。
個人的な見解としては、ITmediaの怒賀さんの記事にあるように、EMCにとっては屈辱の日本市場シェア3位を早くに脱し首位奪取という目的が強いと思える。EMCジャパンは、今年は新卒の採用まですると発表していた。外資ITベンダー(IBMなどは別格)が即戦力でない新卒を採用するのは、極めて異例のことだ。それだけ、日本市場拡大への期待が伺える。とはいえ、新卒が育つには時間がかかる。さらに中途も昨今の各社の旺盛な採用状況をみると、優秀な人材が容易に確保できるとは思えない。
そこで、国内では圧倒的な力をもつNECと深いアライアンスを結べれば、市場での信頼とリソースを一度に得られることになる。ストレージのようなハードウェアは、物理的にその場に赴いてのサポート作業が必要になってもおかしくない。そうなると全国にきめ細かく展開しているNECの力はかなり大きなものだ。同時に、NECの営業力にももちろん大きな期待がかかるだろう。
NECとしてはこれから進める新規の共同開発が、どこまで拡大するかがポイントか。今回のアライアンスの内容はかなり多岐にわたり深いものだが、その最初の大きなアウトプットがエントリー向けの新ストレージということで、数字的に両社の業績にどこまで大きな影響を及ぼすかは計り知れない。単価は当然低いので、数を捌く必要がある。いい製品を作ったとしても、ビジネスとしてうまく運ばなければ、そのほかの製品の生産も将来的に統合していきたいという大きな思惑にも影響を及ぼしそうだ。
さて、結果は如何に。それを占うには、この提携に対し富士通や日立といった国内のストレージベンダーがどう動くのか、そのあたりにもアンテナを張っておく必要性がありそうだ。