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ビジネスの種を育てる

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 東横インの事件はヒューザーの耐震偽造の件がなければ、こんなに大きく取り上げられなかったのだろうなぁなんて思っていたら、東横インの中身もかなりえげつないってことがわかり、まあ、どちらの件も暴かれるべくして暴かれた問題だったのだろう。こんな事件の状況を見逃さずに、建設中の映像をネット公開するという新たなサービスを思いつく人もいる。

 以前から、保育園等にライブカメラを設置し、保育中の我が子の様子をチェックできるサービスはすでにあったので、建築中の現場の状況をインターネット越しにライブ映像で流すこと自体には、技術的に目新しいものがあるわけではない。このタイミングでこの内容のサービスを展開しようという発想と、それを実現させたスピード感えらいということになる。ビジネスの種は、じつはどこにでも転がっていて、それに気付くか気付かないか。そして、成功させられるかどうかは、うまくその種を育てられるかというべつのスキルが必要となる。

 ベルシステム24と日本オラクルが企業のマーケティング活動支援で協業する、という発表にもひとひねりがあったかなと思った。というのも、内容的にはオンデマンド型のマーケティング支援サービスであり、すでに実績のあるCRM系のASPサービスを展開する企業はいくつもある。逆にいえば、オラクルが買収したシーベルのオンデマンドサービスも、ある意味では競合するサービスといえる。もちろん、今年はオンデマンド型のサービスには追い風が吹いている(と私は考えている)ので、そのタイミングはうまく掴んでいる。

 私がビジネスの種というかひとひねりと感じたのは、システムのASPだけでなく人の作業の部分も含めアウトソーシングサービスとして展開しているところ。ベルシステム24は、もともとコールセンター業務のアウトソーシングで実績がある。ウェブ、メールを利用したインタネットマーケティングから、顧客データベース、プロモーションの結果の精度をあげるアウトバンドコールに至るまでを一貫して提供できるというのは、他社サービスに対する強みとなりそうだ。とはいえ、これらどれをとっても技術的にまったく新しいものではなく、個々には実績のあるものだ。これをうまく1つのフローサービスとして取りまとめたところがビジネスの種だったのだろう。今回の発表では、サービス価格はイベントの想定来場者の規模に応じて異なる。その価格差の大部分は、システム的な利用料金ではなく、実際のフォローアップコール数といった人件費にあたる部分とのことだ。

 もちろん、既存技術の組合せなので、競合が参入してくる可能性も高い。先行優位をだせるかが、ビジネスの種をうまく育てられるかに繋がりそうだ。

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