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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

使おうとしているプラクティスや技法の前提は明らかになってますか?

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"Deciding What Kind of Projects are Most Suited for Agile"(どんなプロジェクトがもっともアジャイルに向いているか)というブログエントリがあったので読んでみた。前例や実績がないもの、複雑なもの、厳しい納期があるもの、としている。多くの開発プロジェクトにあてはまるとも書いてある。エントリは@ryuzee氏のtweetで知った。

このエントリには、なぜそれらのプロジェクトが向いているかという理由までは書かれていない。しかし、理由を考えると、プロセス、技法、プラクティスの利用の前提が見えてくる。

たとえば、前例や実績がない開発では試行錯誤なしに進めることが難しい。そのため、事前調査、プロトタイピング、繰り返し型の開発等によって試行錯誤の余地を作る。実際に、はじめてのハードウェア、OS、ミドルウェア等で開発に先立って検証をすることはそれほど珍しいことではないと思う。逆にいわゆる枯れたものについては、これらの必要性は小さくなる。

上述は、あくまで例であり、対象プロジェクトやソフトウェア、組織等によって解釈がかわってくると考えられるが、このように理由を検討することには意味が大きい。

同様にしてプロセス、技法、プラクティスが、なぜ効果を発揮したか、その前提は何かを明らかにすると、事例を伝える際に非常に説得力を増す。特に、開発規模、要素技術等、多くの人の間で共通のものであれば、非常にわかりやすいものになる。また、さらなる改善や横展開の際にも前提が明らかになっているとスムーズだ。

私の専門分野の1つであるエンピリカルソフトウェア工学においても、前提と結果を明らかにするよう推奨されている。たとえば、問題領域、プロダクト、プロセス、プロジェクト等の前提と試行や評価の結果を解釈して、結論を述べるよう勧められている。

前提を洗い出していくためのシステマチックな手順はなく、「もし他のプロジェクトでやってみるとするならば。。。」「横展開するならば。。。」と思いを巡らせないと、なかなか明らかになりにくいが、前提を洗い出していく作業自体が、よい振り返りとなるし、改善につながる第一歩となるだろう。

ご自身の身近な事例を通じて、実際に、プロセス、プラクティス、技法が、なぜ効果を出したかを議論する際に、前提や横展開のための条件を検討してみてはいかがだろうか。

また、1/29(土)に大阪で開催されるXP祭り関西2011に招待いただき、本エントリの内容を具体的に考えてみる45分のセッションを持たせていただくことにした。「なかなかきっかけがない」「何から手をつけるべきか。。」という方には、ぜひご一緒いただきたいと思う。参加は無料だが、ここから事前登録が必要になる。

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