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新型コロナ:孤立するスウェーデン

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月末にスウェーデンについての記事を書こうと決めていたわけでもありませんし、すでに別記事のコメントに書いたことばかりですが、スウェーデンの現状についてまとめておきます。なお、6/19~21は夏至祭というお祭りがあったせいか3日間連続でWHOへの報告がゼロだったのを後から補正したり、同じようなことを6/27~28の週末でもやっているようなので、以下、情報源の違いによって数字のズレが生じていることをお断りしておきます。

■スウェーデンの感染状況
まず、前回の記事で取り上げた感染状況についての最新情報をグラフでまとめます。スウェーデン全体の感染者については、今月に入ってから明らかに増えました。第23週の報告(速報版)の冒頭を機械翻訳で読み取ると、「3/13から入院が必要な人だけを検査していたが、5/5から症状のある人を検査するようになり、23週目からは保健所経由になった。基準が変わっているから単純比較してはいけない」と書かれているようですから、そのせいではあるのでしょう。しかし、6月に入ってからも減少傾向にはありません

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ヨーロッパで感染者の多かった国と人口当たりの新規感染者数を比較しても、スウェーデンだけが感染を抑え込めていないことは明らかです。

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※6/15と22の急減・急増は上記の休暇と補正のせいです。

そもそも抑え込もうとしていないのですから当然の結果ですが、WHOはヨーロッパ地域で感染が拡大している11カ国のひとつとしてスウェーデンを挙げています。これは、OECD加盟国としても、EU加盟国としても唯一の国です。

4月末に書いた記事は、もともと感染対策リーダーのテグネル氏が首都ストックホルムで集団免疫の見通しを示したことがきっかけでしたが、そのストックホルムでも感染はおさまっていません

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もちろん、他の地域でも感染がおさまっているわけではありません。

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なお、感染者数が増加しているのに対して、死者数は減少しています。

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しかし、これは致死率の高い高齢者の感染が減ってきたためで(第25週の報告、p.7のFigur 2.を抜粋)、感染者数が減っているわけではありません。このまま減り続けるかどうかも分かりません。

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■孤立するスウェーデン
感染を抑え込むような自粛をしないことで経済が守られているなら、まだいいのですが、そうでもありません。前回の記事では、スウェーデン経済の見通しが決して明るくないことや北欧の隣国から国境開放を拒否されたり、観光客の受け入れを再開するギリシャから除外されていることを取り上げましたが、さらにEU域内での国境開放からもイギリスとともに除外されているようです。

この記事では「死亡率が高い英国とスウェーデン」という書かれ方になっていますが、人口当たりの死亡者数はベルギーがもっとも高く、フランスやイタリアもイギリスより高いことに注意してください。上記のヨーロッパ主要国における新規感染者の推移を見れば分かるとおり、イギリスは感染者の抑え込みが他国に比べて遅れていたのです。「イギリスはEUを離脱してるからじゃないのか」という声も聞こえてきそうですが、今年いっぱいは移行期間としてEU加盟国の立場が守られることになっていますし、そのイギリスも最近では感染者を抑え込んできましたから、このまま抑え込みが続けば(移行期間のうちは)交流再開の可能性もあるでしょう。しかし、スウェーデンは方針を変えない限り、拒否され続けるのではないでしょうか

EUの渡航制限はEU域外に向けても解除する方向で調整が進んでいます。その中には日本をはじめ中国や韓国など、感染を抑え込んだ国が含まれています。一方、アメリカやロシアなど、いまだ感染を抑え込めていない国は含まれていません。

もし、日本がスウェーデンのマネをしていたら、そうした交流の対象に入れてもらえなかったでしょう。スウェーデンを持ち上げる人たちは経済面を強調していることが多いのですが、日本はそうした国際交流から除外されて経済的にやっていけると考えているのでしょうか。
経済、経済とうるさい人たちが「経済ダメージによる自殺者の増加」を煽っていたのも忘れられません。しかし、警察庁が公表している現在までの自殺者数を見る限り、2月以降の自殺者数は過去5年間のどの年よりも減っています

西浦博氏の「死者42万人予測」について「何もしなければ」という前提を抜かして「嘘だった」と批判する人たちは、「自粛により自殺者が増える」と煽ったことについて「実際に強い自粛があったのに自殺者が減った」という事実を振り返って反省できるのでしょうか。

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