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ビジネスパーソンの出版戦略:大木豊成さんインタビュー(その2)「実名ブログを書くと、出版する力がつけられる」

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オルタナブロガーの大木豊成さんとのインタビュー、第1回目に続き第2回目です。


■伝えたかったのは、ノウハウではなく心構え

N 「大木さんが出版された本は、どんな内容にしようと思われましたか?」

O 「ライフハック的な本にはしたくなかったんですよ。1冊目の本もそうですが、『道具やノウハウだけを覚えてよしとするようなビジネスマンには、なって欲しくない』という想いがありました。ビジネスマンは仕事では腹を括らないとダメですよね。そんなことも伝えたいな、と思いました」

N 「その点は、1冊目と同じ考え方ですね」

O 「社長が何か言うと、それをそのままスルーパスで部下に伝えるマネージャーって、世の中で多いと思うんです。でも、部下は社長の言葉をそのまま受けてしまうわけで、困るんですよね。本来、マネージャーは腹を括って、社長の言葉をしっかり受け止めて、自分の言葉で部下に伝えるべきだと思います」

N 「確かに、そのように楽な方向に流されがちなマネージメントは多いように感じますね」

O 「ある方が、『この本は仕事術の本ではなくって、心構えの本だ』という書評を書いていただきました。ありがたかったですね。分っていただいたんだな、と思って」

 

■出版はまさに「最強の名刺」だった

N 「ところで、そもそも大木さんが本を書きたいと思われたきっかけは何ですか?」

O 「2001年にYahoo! BB立ち上げに携わっていた時に、『こんなに面白いこと、本になるよなぁ』と思っていたんですよね。いつかは本を書きたいと思っていました。そのまま書いてしまうと、企業秘密とかあるんですけど、エッセンスは、他の人達にとっても参考になると思ったんですよね」

N 「なるほど、そこで書きたいというきっかけを持ったんですね」

O 「結局、2冊目の出版は、2008年にソフトバンクを退職して、独立した時でした。本は必ず名刺や看板代わりになると思っていましたので、退職する時には必ず本を出そうと思っていました。そこで退職する直前に、広報に『ソフトバンクの経験を本に書きたいんですけど』と相談したんですよ。広報はいい宣伝になる、と協力的でしたね。私の原稿、孫社長も目を通しているかもしれませんね」

N 「実際に、本を出してみて、いかがですか?」

O 「両親が『あのダイヤモンド社から本を出した』ということでとても喜んでくれたのは嬉しかったですね。78歳の母親も、付箋を貼って読んでくれました。感激でしたね」

N 「いいお話しですね」

O 「今は独立して人事部門や経営企画部門のコンサルティングの仕事をしていますが、ダイヤモンド社からソフトバンクでの経験を本にして出している、というのは、信頼をいただいて仕事を獲得するのにとても役立ちました。その点では、ソフトバンクにすごく感謝していますね」

N 「実際の経験を本にまとめるのは、とてもいいですね」

O 「口頭で『Yahoo! BBの立ち上げをやっていました』とお話しすると信頼していただけるんです。でも、本をお渡しすると、読んでいただいた後に『大変なことをやっていたんですね!』って言われるんですよ。『孫社長ってどんな人なんですか?』という質問をいただくこともあります。口頭で説明する場合と比べて、受ける印象は全く違うんですね」

N 「本が色々と語ってくれますからね」

O 「東証一部に上場している数千人規模の社長さんにお会いするときも、本をお渡しするだけで分っていただけるんですよ。社長さんも、『大木さんという人はこんな本を書いていてね』という感じで、部下に説明しやすいんですよね。やっはり独立するためには、本を書くのがいいですね。」

N 「なるほど、コンサルタントにとっては、本当に出版は名刺代わりですね」

O 「コンサルタントとして独立する時には、名刺になる本は必要ですね。まだまだ経営者は50代の方も多いんですよね。電子書籍の時代になってもこのあたりはすぐには変わらないんじゃないかな、と思います」

N 「名刺代わりにしたいということで出版されたということですが、実際に『出版は最強の名刺』だと思いますか?」

O 「『出版は最強の名刺』というのはまさにその通りだと思います。本を渡せば、自分で何も語る必要がないですからね。本には嘘は書けませんし、相手も事実として理解していただけます。ボクについてこれ以上語ってくれるものはありません。実際、初めてのお客さんに会うときなんかは、出張先の書店で自分の本を2、3冊買って、相手に差し上げることもありますね」

 

■実名ブログを書くと、出版する力がつけられる

N 「ブログがきっかけで本の話しが来る方は多いのですが、大木さんが出版するきっかけは、お知合いのご縁で1冊目の共著の本を出して、さらに編集者とのご縁が出来たことでしたよね。他に、出版にあたってブログを書いていて役だったことはありますか?」

O 「ブログを書いていたことが、本を執筆するのにとても役立ちました。ブログを書いていると、頭が整理できるんでしょうね。ブログに書いた内容を直接本に書くことはなかったんですが、本を書いているうちに、『あれはどこかブログに書いていたな』と思い出して、探したりしました。日記を書く習慣があったら、それもまた役だったかもしれませんね」

N 「ブログ自体が、一種のナレッジ・データベースみたいな感じで活用できたということですね」

O 「それと、実名でブログを書いていたのがよかったのかもしれません。匿名で書いていると、もしかしたら仕事での不平・不満も書いていたかもしれないんですよね。でも実名ブログだったし、当事者が読むと分ってしまうこともあり、ブログでは常にポジティブに語っていました。これがあとあとよかったかもしれません。本を書きたいと思う人にとって、実名で書くブログはメリットが大きいですよね」

N 「まだまだ実名で書くのは恐いという人が多いですよね。実名で書くにあたって、配慮していることはありますか?」

O 「実名で書くのが恐いという人は、ネガティブなコメントがついて炎上するんじゃないかって心配していることが多いんですよね。でも、批判的なことを書かなければ炎上はしないんですよね」

N 「なるほど、確かに私もそうですね。私の場合も、もしブログに書く内容で一人でも傷つくようなことがあれば、書かないようにしていますが、今まで炎上したことはないですね。ところで、ブログをやっていて、本を書く力は鍛えられましたか?」

O 「それはありますね。ブログを書いていて2つの点で鍛えられましたね。一つは、整理する力ですね。ダラダラと書くのではなく、どのように書けば相手に伝わるかをすごく考えましたね」

N 「大木さんはほぼ毎日書いていますから、積み重ねがすごいのでしょうね」

O 「あと、2つ目ですけど、実はボクがブログを書き始めた時は、偉そうに『教えよう、伝えよう』と思っていたんですよ。でも、実際に書いていて分ったのは、ブログを読んでいる人はとても多くて、自分よりも詳しい人が必ずいるってことなんです」

N 「それはブログを書いていると、本当に実感しますね」

O 「そして知らないことを教えてくれるんですよ。インターネットなんかでいくら調べても分らないことってあるじゃないですか。例えば、そもそも仮説が立たずに、自分が知らないことって、検索できないですよね。でも、何か書くと、詳しい人が教えてくれるんですよ。そこに気がついたのは大きかったですね。そこで、むしろ『教えてもらおう』という気持ちで書くようになりました。ブログは情報発信といいますけど、どこかで双方向なところがあるんですよね」

N 「確かにブログを書き続けていくと、自然と謙虚になっていきますよね」

O 「そうですね。ブログを書く時は、相手がコメントを付けやすいように書くことを心掛けています。ちゃんと知識がある人が、コメントで反論してくれるのは大変ありがたいですね。でも本を書くにあたって、逆にこうやって分ったことを本では『こうだ』という感じで伝えなくてはいけないので、ブログに書く場合とはちょっと違うのかもしれませんね」

 

(以下、次回の「企画書を書こう!」に続きます)

 

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