コスト削減について その5
今回は、前回の続きです。
「エミュレーションライブラリ」古いシステムを新しい環境で 2
今回は実際にあった実例の紹介です。
ケース1 ハードが購入できない
A社では、DOSの時代から利用しているシステムで機材が購入できなくて困っていました。
1.プリンターは専用プリンターです。
2.ネットワークを利用していない共有データ装置です。
3.OSは、DOSです。しかもH98という特殊なOSです。
身近では、最新の機材のクライアントサーバシステムが動いているのに、DOSのシステムが別系統で動作しているのです。
もちろん、新規開発を行いたいのですが、システム規模が膨大な為に、一度にすべてのシステムを再開発する事はできません。
すべてを再開発する為には、数年の期間と数億円の費用が掛かるからです。
エミュレータでは対応していないOSでしたし、専用ハードをエミュレーションしてくれる機能をエミュレータは持っていません。
対応
エミュレーションライブラリを手法とする方法で、すべてのシステムをWindows上で動作するようにしました。
専用プリンターは、Windowsの汎用プリンターに、共有データ装置は、ファイルサーバに入れ替わりました。パソコンは普通のWindowsパソコンが使えました。
作業期間は、動作チェックを含めて6ヶ月間でした。費用は新規開発の8分の1で済みました。
この後、A社は、仕様が新しくなったシステムだけを、新たに開発し、旧システムと併称して運用を行いました。
ケース2 ライブラリが対応していない
B社では、全社的にネットワークプロトコルの入れ替えを行うことになりました。
ところが、古いOSを利用しているB社では、新しいプロトコルに対応したネットワークライブラリが入手できないのです。OSも新しいものにしなければなりません。しかしそうすると、システムを新しいOS用に再構築しなければならなくなります。
費用は数億円、期間は最低2年は必要です。しかしネットワークプロトコルの変更は、機材入手の関係から、1年以内に行わなければなりませんでした。
エミュレータを導入しようにも、最新のネットワークライブラリは最新のOSでしか動かないので利用できません。
対応
エミュレーションライブラリを手法とすることで、新しいOS上で最新のライブラリを従来のシステムで利用する対応を行いました。
作業期間は、動作チェックを含めて7ヶ月間でした。費用は新規開発の10分の1で済みました。
今日はここまで、またいつか御会いしましょう。