〈書評〉「10年後に食える仕事 食えない仕事」【読了目安: 2分】
当エントリーをご覧いただきありがとうございます。フォトグラファーの御園生大地です。
「10年後に食える仕事、食えない仕事」 (渡邉正裕氏著・東洋経済新報社) を、読了しました。
いきなりですが、私がこの本から勝手に受け取ったメッセージを友達に語ってみます。
「自信のある人は、グローバルIT時代の際限ない競争に身を投じるのもアリだよね。
でも、『日本人ならではのメリットを生かした、グローバル競争に飲み込まれない道』ってのがあるらしいんだ。
普通の人はそのほうが現実的かもよ?」
さて…、
今までこのブログで書いてきたこととは真逆と言っても過言ではないこのメッセージです。
ではあるんだけど、私はこの本に一定の説得力を感じました。
(Amazonのレビューには必ずしも好意的でないものも見られますが、私は大いに参考になりました。)
積極的にグローバル競争に参加すべきか。もしくは、なるべくグローバル競争の土俵を避けるべきか。
ふたつの相反する考え方を、どう消化するべきだろうか…。
普通で言ったら、私のような職業(フォトグラファー)は、 グローバル競争に飲み込まれて行く可能性の高い職業だと思います 。
(レタッチとCGは、もっとそういう傾向が強いと思います。)
だから危機感が強いし、今の自分にできる対策は打ってきているつもりです。
でも、いくら考えても解決できない、答えの見つからない問いが自分の中にあるのです。
それは、
「仮に3カ国をまたいで 活動するクリエイターになったとして、報酬の格差はどうするの?」
といった問です。
日本で仕事をするよりも(仮に)10分の1の報酬で、国外に出張撮影に行くのはあまりにメリットが小さいわけです。
それを解決するには、その3カ国の中で、一番生活コストの安い国に住むのがいいかも。と言うのが今の仮の答えなのですが、仮の答えに過ぎないなあと思っております。
(長いスパンでは先進国と新興国の賃金格差は縮小傾向に進むでしょうが、さすがに時間はかかるような気がします)
この辺、規模がある程度ある事業体であれば、新興国で稼いだ利益でも大きなものになるでしょうが、個人規模のクリエイターは、一人で稼ぐ報酬は、あくまで一人の報酬。
基本はその国の賃金レベルの影響を受けそうです。
それで日本国内に拠点を置いてはやっていけないのではないか?
もちろんこれは、今考え始めたことではなく、考えても答えが出ないなあという感じでした。
当面答えは出ないけど、だからと言って、グローバル対応への準備を全くしないのはあまりにリスクが高い。
だからひとまず保留にしつつ、今まで突き進んできたわけです。
この本を読んで考えて、その辺がスッキリした気がします。
現在の段階で、どっちか極端に走る必要はないのかなあと思えてきました。
で、あるならば、
日本人ならではのメリットを生かして働くという、この本の視点を持ちつつ国内でのポジションをキープ。
↓
一方でグローバル競争にいつ飲み込まれてもいいように準備をコツコツと進める。
↓
日本と、新興国の賃金格差の縮小をにらみつつ、タイミングを継続的に図り続ける。
そんな感じのバランス感覚が現実的なんじゃないかなあと思いました。
もちろん、グローバル展開のチャンスがあれば、タイミングを問わず積極的に進出します。
ただ「グローバルIT時代のフォトグラファー」と銘打っていても、妄信的に国外進出ありき、では、それはそれで危険な気がします。
「グローバルIT時代に、日本在住クリエイターは、いかに対応すべきか。」について。
私はこの本を読んで、自分の中の最新の答えを以下のように書き換えておこうと思いました。
「グローバル進出への準備」を進めると同時に、「グローバル競争時代ならではの国内ポジション確立」にもいっそう、注意を払おう。
月2回。1日と15日に更新予定。 「グローバルIT時代のフォトグラファー」
(次回は、5月1日のam8:00にアップ予定です。)