オルタナティブ・ブログ > グローバルIT時代のフォトグラファー >

グローバルIT時代にクリエイターはいかに対応するべきか?を考えます

グローバルIT時代のクリエイターとして、どんな新しい分野に進出すべきか 〜JAGATセミナーを受講して〜 【読了目安: 3分30秒】

»

通常のエントリーは、当該日の0:00ちょうどにアップするのですが、今回は諸般の事情によりアップが22:15となりました。
もし、待っていてくださった方がもしいらっしゃったら、ごめんなさい。
極力当日の0:00アップに努めますので、今後ともよろしくお願いいたします。
では、以下エントリーです。

昨年の話ですが、社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)主催のセミナーを受講してきました。

内容は、第一部が谷口とものりさんというフォトグラファーによる、「360度パノラマVR写真」作成の実演。
第二部が、長尾健作さんによる、3DCGの国内活用事例の紹介、といったものでした。

「360度パノラマVR写真」とは何ぞや、という件については、谷口さんのホームページのリンクを貼っておくのでそちらをご参照頂けますと幸いです。(面白いですよ!100聞は一見にしかず。知らない方は一度閲覧をオススメします。)

この技術自体は、かなり前から存在していたもので、私の所属している会社でも技術開発自体は行われていましたが、長らく商業化の壁がありました。はっきり言えば、面白い技術であるものの、商売にするのが難しかったのです。
谷口さんも、一時はその壁に苦しんでおられたようなのですが、iPadの登場で、状況が一変したとのことでした。
今は引き合いがひっきりなしに入っているとのことで、手持ちの技術(谷口氏の場合は写真撮影)のコモディティ化の克服の尊敬すべき先行例であると、私は捉えております。

このセミナーを通じて、私は勝手に、ひとつのメッセージを受け取った気がしました。それは、
「既存ビジネスモデルがコモディ化してくると、仕事は半減するので、新しいビジネスを開拓しよう。コンテンツメーカーなら、web、もしくはモバイル端末分野の成長の流れに乗れるコンテンツをつくるべきですよ」
と、言うものだったような気がします。

この後半部分、
「コンテンツメーカーなら、web、もしくはモバイル端末分野の成長の流れに乗れるコンテンツをつくるべきですよ」
のところが自分には新鮮でした。

曰く、コンテンツ作成者(←抵抗感のある方もいらっしゃるかと思いますが、私はあえてこう呼ぶようにしています)にとって、厳しい時代が続いていますが、それが不況のせいだというのは半分本当で、半分嘘である。
確かに旧来のメディア(TV、ラジオ、新聞、雑誌等)の広告予算の減少は続いているが、インターネットとモバイルコンテンツは元気である、と。

この視点自体は、特に目新しいものではないかもしれませんが、自分の中のアイディアと凄くシンクロしたのを感じたのです。

以前の「マルチクリエイターのすすめ」のエントリーで「変化の激しい時代を生き抜くため、技術者も3つの道に邁進するべき」という趣旨の話をしたことと、ここで話がつながってきます。
自分が拠り所とする新しい技術分野を開拓することを目指す場合、現状では「web、もしくはモバイル端末分野の成長と共に、ニーズの増大が予想されるコンテンツ」を作れるようになることに注力するのがよいのではないかと。
それが今回のエントリーで私が一番言いたかったことです。

このセミナー以来、キャリア戦略の再考の作業を進めています。
今までの自分は、3DCG分野の中でも、何を狙っていくのかの明確なポリシーがなかったのではないか?と自問しています。
モバイルコンテンツに強い体質をつくるとなると、CGのアニメーション技術は必須だなあとか、データのコンバートのノウハウをもっと習得しないとなあとか。
ARこそ手がけているものの、幹の部分で基本的に静止画体質から脱却ができていないところが、ウィークポイントだったかなあと、感じているのです。
細かいことで、まだまだ対応しきれていない部分が沢山あります。(今はCGでも、アニメーションは比較的後回しにしてきました。)

撮影の仕事をしていると、日々勉強は必要なものの、次々新しい技術を習得する必要にはそれほど迫られません。
それは、写真撮影の市場そのものが成熟、安定しているとも言えるし、逆に言えば停滞しているとも言えると思います。
新しい分野に関わる仕事は、技術としても市場としても完成されていない分、こういった戦略再考は日常的に行なっていかなくてはいけないのだろうなあと、そんなことを考えました。


月2回。1日と15日に更新予定。 「グローバルIT時代のフォトグラファー

Comment(0)