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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

日本の経営者の資質

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久しぶりにバングラデシュに来ている。来るたびに、政情は不安定とは言え、成長の熱気にあふれている街の姿を見るにつけ、これだけの市場があり且つ元々繊維の国として工業ベースもあるこの国に、日本の大企業の進出が少ないことに疑問を感じる。

もちろん二大政党の対立で街中でも事件が頻発した時期があったし、ISによると言われる日本人殺害事件があったのも事実だが、そもそも世界中で様々な事件が起きているのであり、これを恐れていては最近急速に進出の動きを見せる中国などに置いて行かれるのは時間の問題だ。現実に私の滞在している安価なホテルにも今まであまりいなかった中国人の宿泊客が多くいるのには驚いた。

どうも大企業の経営者は、サラリーマン上がりで経営者としての資質に欠け、とにかく自分の任期中は安全運転という印象が強い。だが、国際競争力が落ちてきている我が国の産業にとって、リスクテイクなしに浮上する可能性などあまり想像できない。

一方でオーナー経営者には、進取の気性のある方が多くいると認識しているが、これもまた株主中心主義も相まって、うまく機能しているとは言えない。クックパッドの事件のようなことが平気で起こるし、一方で何故か日本のオーナー経営者もひと頃と比べると成長意欲だけはあるが、きちんとした理念に基づいて事業を通じて社会に貢献するというスタンスが見えないケースが多い。

どうも大企業の経営層になった人々に対する学歴なども含めたコンプレックスだけで経営をしているように感じられるし、成長したおかげで以前は相手にされなかったエリートたちに対して上から目線で話せることに喜びを見出しているという印象だ。その上、自分の利益だけを追求し、何か起こると全て社内の誰かのせいにするなど社内で煙たがられ、人が育たず離職していくという例を私も、常に見ている。

この間台湾の話をしたが、台湾は基本的にどんな企業も所謂オーナー企業だ。内実は知らないので正確な比較は出来ないが、そのような社会でパーキャピタが日本を超えたということは、おそらく日本の普通のオーナー企業よりはまともな経営が行われているのではないかと感じたりもする。

まだまだ優れた技術や、素晴らしい志を持った人々が残されている今のうちに、今一度我が国の強みを生かし、社会にそして世界に貢献するような理念を持った経営者を育てていく必要がある。そうでないと早晩我が国の経営者、更には経済や国そのものの資質を問われることになる。

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