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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

どこまでが政治家の責任か?企業の責任か?

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この週末は時間がないので、早めに一筆。

甘利大臣の辞任が決まった。もちろん支援者からの資金供与が適法な形で行われていなかったとすれば、これは厳しく対処すべきだと思う。だが、事案が、資金を出した側が詳細な記録を取っているなど、極めて不可解であり、背後に何かが動いているのかという感じがする。

甘利氏は、小生の拙い知識によれば、どちらかというと訥々とした話し方で実直な印象があるし、いろいろと異なる見解はあるとは思うが、逆風が吹く中でTPP交渉をまとめ上げた点は、そのブレない態度などを含めて、評価は高い。また、経済政策面でも、必ずしも流れに迎合することなく、正論を唱え続ける方だと聞く。

本人に関して、上記のように本来の対処の必然性は認めつつも、このことだけを取り上げて、国会の重要事項の審議に遅れを生じさせるとか、任命責任などを殊更追及してパワーゲームを行うという対応はいただけない。処分は処分として粛々と行いつつも、やはり正々堂々と政策論で国会の審議を進めていただきたい

また、政治とカネの事件は枚挙にいとまがないが、根本的な問題はやはり資金管理をきちんと行っていないということであり、またその監査などがまだまだ不徹底だということであって、この点に手を入れようとするとすぐに政治の自由などという議論になるが、やはり自らの行動をただすという観点から、政治家自身でさらに厳しい規制を創設すべきである。清廉潔白であることを国民に示すことは政治家自身の責任だと考える。

加えて、そもそも金を出す業者や受け取る秘書など、政治にたかる卑しい輩が相変わらず跋扈することが、残念でならない。結局国民のレベルを政治家は超えないのであり、改めて自らを戒める必要があると感じる。政治家自身の資金監査を厳格化するとともに、政治にかかわる人物の質をどう引き上げるかというのがもう一つの大きな課題だ。

このような原理原則に立ち返ると、昨今問題となった廃棄物の横流しの問題も、同根であると感じる。もちろん横流しをした業者自体が問題だし、これを知りつつ更に転売した業者がいけないのだが、結局これは事業から出た廃棄物を自ら処分せず処分を外部に依存したところから発生している。

確かに、店ごとに少量発生する廃棄物を処理するのは効率的ではないだろうと思うが、要は自ら処理するより安いコストでと思うところに、今回のようにこれを受け取った業者が一儲けするという構図が生まれるのも事実だ。

これは、このような食品廃棄物だけではなく、例えばPETボトルでも同じで、我が国ではこのリサイクルの技術はかなり高度化しているが、収集業者が必ずしもリサイクル業者に廃棄PETを提供せず、高く売れる中国に持ち込むことで、我が国のリサイクル率が必ずしも向上せず、結果として地球環境の悪化につながるという点も指摘できる。

何でも効率、何でも安く、という我が国産業の発想が、結果として企業倫理にもとる行動を生み出しているという見方もできなくはない。多少コストがかかろうと、自ら生み出したゴミは、自ら処理するという対応が、これからのより地球環境を大事にし、豊かな社会を目指す我々には求められるのではないか?そして、そのような行動こそが企業の責任の一端ではないのか?

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