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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

表現の自由

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国連が12月に行う予定だった日本の「表現の自由」に関する調査が、日本政府の要請で延期されたらしい。予算編成などで受け入れ態勢を整えることが難しいというのが公式の理由らしいが、そもそも臨時国会が実施される予定の時期に入れられていた調査であり、臨時国会を開催しないのに、忙しいというのはあまり理由にならない。

安保法制といい、放送倫理への自民党などの介入といい、そしてこの表現の自由に関する問題といい、私の目からすれば、現政権は立憲主義はもとより、基本的人権に関する理解もない、専制国家を目指している政権だとしか思えないし、安保法制は国民の生命、身体、財産を守るなどという理由づけをしているが、一方で福島の原発に関する調査が全く進まないまま原発の再稼働を認めるなど、どう考えても国民の生命を守る意識があるとは考えられない。

一方で、この専制政権を維持するため、公明党に配意しつつ、安保法制などで考え方の近い橋下氏への配慮から大阪の知事選や市長選について、自民党の候補への応援もあまりなく、大阪維新の党が両選挙で勝利することとなったが、ここで一旦あきらめたはずの大阪都構想が再び復活している。

政令指定都市である大阪市と大阪府が存在することによる二重行政の不都合や無駄を避けたいという趣旨は理解できなくもないし、区長などを公選制にすることでより民主制を徹底するということも理解できないわけではないが、では東京都の制度が本当にもっとも大阪にとってふさわしい仕組みなのか、もっときちんと精査すべきではないか?

大阪と同じような状況にあるのが、例えば神奈川県だ。神奈川県は、複数の政令指定都市があるので、より複雑だと言えるかもしれない。この中で大阪市に該当するのは横浜市だが、ではこれを東京都のような形にすることが望ましいか?横浜市は、もともと港湾都市横浜がその中枢であり、政治的にも菅官房長官をはじめとして港湾族が港湾関係の産業の後ろ盾を得ながら政治力を発揮してきている。

だが、東京からの私鉄沿線の開発などから、山側の地域の発展も著しく、高度成長の中で大企業の関係者が自宅を保有したことなどから、これらの地域の民度も高くなり、明らかに背景とする住民の層も求める政策も異なる中で、一つの市としてのアイデンティテイの確保が難しくなってきている。

とすれば、横浜市においては、これを都構想などで東京と同じにするのではなく、そもそも市自体を3つ、4つに分割し、適切な規模にすることで独自の政策を実施できるようにすることの方が、望ましいのではとも考えられる。これと同じようなことは大阪ではありえないのか?

昨今感じるのは、安保法制にしても、都構想にしても、更には普天間にしても、原発再稼働にしても、一方的な政策が十分な検討もなしに、感覚だけで提示され、一方でこれに対する詳細な情報なども提供する体制を否定され、情報が閉ざされたまま、断行されるという我が国の状況だ。

政権の中枢に近いところにいる方々や、有能な官僚の方々或いはそのOBにこのような懸念を申し上げると、全く心配ないという答えが返ってくるが、果たして本当にそうなのか?私には暗黒の時代が近づいているとしか思えないのだが。

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