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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

本当にグローバル化は正しいのか?

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TPP参加表明が行われた。詳細はこれから詰めるようだし、ある程度世界の中でルールが統一され、お互いにいろいろな取引をする際に分かりやすくなることは、決していけないことではないと思う。

だが、TPPの議論を見ていると、一つにはわが国の生命線である製造業にとって、これに参加し参加国の自国企業などと同じ土俵で戦うことで、わが国産業が更に成長するというわが国産業の力に対する過信と、それから他国の産業の犠牲において自国産業を保護するという心根が見え隠れする。

もう一つは、米国・日本を中心に太平洋地域の主要国が合意することで、国際ルールになかなか従わない中国を包囲し、中国が我々の作ったルールに従うようにしたい、との米国の意向も推定される。

私も、世紀も変わった今、国際社会のおいて唯一時代遅れの覇権主義を唱え、不埒な行動をする力任せの大国中国の戦略に賛同するつもりは全くない。ただ、一方ででは、米国を中心としたルールで、すべてを決めてしまって良いのか、大きな疑問を感じる。

例えば、イスラム圏では、食品の調理法については、かなり細かい独特のルールが存在する。これは宗教上の理由もあり、変えることは不可能である。これを全く世界中で同じ基準に出来るのか?

日本の農業が遅れているのは事実だろうと思うが、では、米を始めとする農産物が、安いからといって国内に入ってきて、本当にわが国の安全保障は保てるのか?防衛上も他国に依存し、エネルギーも海外に依存し、そして国民の食まで海外に依存した国家というのが本当に成り立つのか?参加するにしても、もっと国民の将来を真剣に貿易問題、産業問題などだけでなく幅広く検討した上での、戦略的な対応が必要だと考える。

加えて、日本の製造業に対する過信。既に製造技術でも海外に対する優位性を失いつつあるわが国製造業が、平等な交易環境が出来れば国際競争力が増して、成長に向かうなどという世迷いごとを信じている経団連などの発想自体が、甘えの構造から脱却していない。

すべて、非関税障壁も含めて同じ交易条件にし、新たな技術や製品が次々と途上国に流れ込んでいく、それが本当に人類の幸せにつながるのか?それぞれの社会には、異なる価値観や文化がある。これを何でも一律にする必要があるのか

そもそも、わが国が高度成長の時代に、では国家や国際機構がわが国だけを助けてくれて、わが国の産業は国際競争力を高めていったのか?もちろん東西冷戦構造に助けられた点は否定できないが、でも安かろう、悪かろうという日本製品に対する評価を乗り越え、或いは様々な障壁を乗り越えて、我々の先輩たちは事業を伸ばしてきたのではないか

交易条件が同じでないから不利になっている、とにかく価格競争に勝つために何とかして欲しい、そんな時代遅れの甘えだけの経営者しかいないわが国産業に将来などあるはずはない。厳しい環境を乗り越え、それぞれの国や社会のニーズに応え、そしてそれらの国や国民に貢献する、その中から成長一辺倒、価格競争一辺倒というこれまでとは異なる新たなモデルを作り上げたところが、次の成長のコアになって行く。

そんな仕組みが新たな人類社会の構図だとすれば、TPPなどという議論もまた時代遅れなのかもしれない

 

Comment(2)

コメント

Yasushi Suzuki

TPPはシンガポール・ブルネイ・ニュージーランド・チリ」の4か国が、小国間の戦略的提携によりマーケットでのプレゼンスを求める目的で始まったものであり、アメリカ中心のルールと見る必要はないと思います。バカ高い国産バターやチーズしか店頭に並ばないよりは、高い商品もあれば、廉価なものも買える選択肢を消費者に与えることはフェアなことと思います。高くでも質がよければ消費者は国産を選ぶと思います。農業にとってもチャンスと捉えてほしいです。

Harupapa

TPPの最初の形がそうであっても、米国がこの仕組みを使おうと思ったときから米国主導のものになっていると考えたほうが良いと思います。ただ安いものもあればいいで良いのかどうかは疑問です。

そもそも丹治さんのおっしゃる「グローバル化は正しいのか?」という問いかけは共感を覚えます。グローバル化による部分的なメリットはあるものの、グローバル化とはその部分だけを取り出して享受できる代物ではなく、そのメリットを見せかけて、「異文化を破壊とまではいかなくても、否定してフラット化すること」までをどうしても含んでしまう流れです。そもそも近年のグローバル化で「誰が幸せになったのか、世界で日本でだれがどのように幸せになったのか、ならないのか?」それを感じることのできるセンスをもっていれば、自ずと丹治さんの問いかけに行き着くのではと思います。

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