オルタナティブ・ブログ > マイク丹治の「グローバル・アイ」 >

 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

やっぱり原発問題はこれからが大変!

»

震災からまもなく1年。ちょうど日本橋にいたときに地震を感じたが、東京でもその揺れは尋常ではなかった。何とか歩いて家に帰ったが、ちょうど買い物に出かけていた韓国出身の嫁は、泣きそうな顔で長時間歩いて帰ってきた。

両親の実家が福島で、自分が長男なので、親戚の安否を確かめるのに何日もかかったが、幸いそれぞれの居所が内陸部だったせいもあって全員無事だった。ただ、一人暮らしの老人も多いので、震災後比較的すぐに親せき回りをし、その足で原発周辺も見てきた。

夏には、父親の墓参りを兼ねて、再度福島を訪問したが、この際にも現地で結構大きな揺れがあり肝を冷やした。また、岩手の知人のところを回り、沿海部の悲惨な状況も改めて見ることが出来た。

千年に一度の被災なので、言葉に尽くせるものではないが、政府の対応はお粗末だったものの、地元行政や全国の地方行政機関、更には医療機関やボランティア、NPO、海外のNGOなどの活動で、徐々に落ち着きを取り戻しつつあるようだ。

大事なことは、皆で力を合わせて支援することと同時に、地元が自らの力で立ち上がれるように、サポートすることだろうと思う。自分自身は、結局何も出来ていないが、自分の出来る範囲でと考えている。ただ、まずは被災者の方々の居住を確保し、生活費を渡すことから始めるべきなのに、そのような手当てが官僚主義で遅れたのは残念だ。

更に、一つだけ、これは声をあげて言いたいのだが、原発事故に関する政府の対応は犯罪行為に近いと思っている。どう収束するかもさることながら、一番大事なのは人命だ。地元住民が自分の家に戻りたいというのは分かるが、どう考えても安全になっているというよりより危険は広がっているのだから、絶対に避難地域を縮小してはいけないし、また安心させるようなことを言ってはいけない思うのだ。

それを戻って良いとか、低温安定化したとかというのは、20年、30年経ったあとにどうなるか?深刻な事態になる可能性を心配している。そして、仮にそのような事態になったとき、おそらく「当時の情報ではこれが最善だった」という主張がされると推察されるが、思い起こしていただきたいのは、未だに原発の中がどうなっているかは定かではなく、明らかに放射能のリークは続いていて、その放出蓄積は拡大し続けているということだ。

この責任を誰もとらないとすれば、それこそ日本は国民を守らない国家ということになる。ちょうどジャッキーチェンの孫文を描いた映画を見た。中国は、共産主義ということでいわゆる自由主義とは異なる陣営にいるので、欧米と同様には語れないかもしれないが、かの国でも流血によって民主主義を獲得する闘争が行われたのだ。それに比べて、我々は自ら何を獲得してきたのだろうか

Comment(0)