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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

社会保障と成長と財政再建?現実的な話をしよう!

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いつもオヤジの愚痴で申し訳ありませんが、まだ選挙も終わっていないので、引き続き今度は財政戦略の話です。

2020年なんて言ってると、市場で日本は破たんする!

まず、一言で言えば、前々回も指摘したように、そもそもわが国の産業が優れているという幻想の上に、相変わらず途上国型の成長モデルで成長産業や成長戦略を描いているわけで、そのこと自体が実現性はゼロだと思います。それから社会保障が成長領域ととらえられているわけですが、そもそも主要政党ではこの分野が政府が関与する重点分野であるわけで、当然財政支出も増える、従って当然成長するわけで、それが政府施策による民間レベルの経済成長の原動力になるなどという詭弁はどう考えても理解できません。

それより大事なのは、2020年までに基礎的収支を黒字化するという悠長な発想です。消費税に踏み込んだところは相応に評価できるとして、わが国よりもストックベースの負債が少ない英国ですら、緊急施策を発動しているのですから、わが国も即座に対応する必要があるわけです。2015年には財政規模を現状の水準で行けば、国債の国内消化は不可能になるというのは、海外のエコノミストの常識です。即座にドラスティックな施策を打たなければ、日本経済は再生の道を失います。もっとも前にも指摘したように、実は当面はあまり皆困らないのかもしれませんが。

年金や保険が今のままというのは絶対にあり得ない!

エコノミストなどの記事を見ていると、海外の識者は皆日本のいわば能天気な政治抗争に呆れていると言って良いでしょう。今求められることは、まず日本国民の目を覚ますことではないでしょうか?

大事なことは、年金は絶対に保証できないということです。財政を再建し、成長戦略も実施し、子供手当も支払い、高速道路も無料化し、温暖化ガスも削減するなどということは不可能だということです。私の個人的な考えは、基礎年金は税金で賄い、それを超える部分はこれまでの積立額を個人に返却して、個人で運用していただくということです。月に二十万も三十万も年金があればもちろんうれしいですが、高齢になればあまり食事も食べません。生活困窮者に対する対策は別に考える必要がありますが、このような形にしてもあまり困らない層が沢山いるはずです。そうやって、今あるのが当たり前と思っているものが実はそうではない、ということを明確に国民に伝えることが大事だと考えます。

医療保険もそうです。どう考えても、体調を崩し病院に入院して高度な末期医療を5年も受ければ、そのコストが自分たちが支払ってきた保険料の金額を上回っていることは想像がつきます。そして高齢化でその対象者が増えれば、国民皆保険で医療のすべてを賄うなどというのが幻想であることは容易に理解できます。保険金の支払い上限を設ける、これを超える部分は民間の医療保険でも買う、ということしか解決策はありません。

税金を払っていない人が多すぎる!

一方で、政府税調の中間整理も公表されました。所得税の累進構造を回復と記載されています。わが国の累進構造は、一時の最高税率75%というところからすれば、今は40%ですからある程度緩和されていますが、これに地方税を入れれば軽く50%を超えるわけで、安易に累進構造を強化するという議論は危険だと思います。

これは消費税の議論でも、一定以下の所得層について還付などの話があることとも関連してきます。そもそも現在も所得税を払っていない世帯が35%くらいあるはずです。個々にはいろいろな事情があり支援を要する部分はあると思いますが、一方である程度高額な所得を得ている人間も、真面目に死に物狂いで働いてその報酬を得ているわけで、その成果の大部分を政府に吸い上げられて、税金を納めていない世帯を支えなくてはならない、再分配にも自ずから限度があると思います。

そんなことをすれば、ますます真面目に働く人間はいなくなり、或いは国外に行ってしまい、結果として更に財政構造が不安定になるのは明白です。昨日も中国の政府関係者の方と話す機会がありましたが、「日本は明らかに社会主義で、これでは成長に限界がある。中国は共産党はいるけど、資本主義ですよ。」と言われました。

今より少し貧相な社会でも結構豊かだ!

確かにフィンランドなど福祉が充実している国はありますが、今我々が認識しなくてはならないのは、これまでの先進国モデルがもう機能しなくなってきているということです。どう考えても、従来の第三世界が今や世界経済の牽引車であり、米国、EU、日本という経済大国は政治構造も不安定になり、経済的にも金融危機とこれを支えるための財政支出など、修正資本主義の仕組みの限界に喘いでいます。

そのような中で、きれいごとで、或いはポピュリズムで、社会保障と経済成長と財政再建が鼎立して、今国民が享受できている甘えた生活が維持できるなどという大ウソはもう止めましょう。残念ながら、年金も少なくなるし、医療も限度が出来る、まじめに働かなければ最低の生活しか出来なくなるし、ひょっとすると安全保障に自ら参画する必要も出てくる、それが現実だ、ということを明確にしましょう。そうすれば、それでも結構世界中の人たちよりはまだまだ幸せな人生が送れるのですから。

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