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お客様や部下への接し方を、自分の大切な守るべき人(幼児や高齢者など)に置き換えて考えれば、サービスやリスク回避のためにできることは、まだまだあると思います。コンシェルジュ的発想で「おもてなし」を中心に、気づきを綴ります。

銀行の待ち時間は減らせるか? 2

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紙1枚、シール1枚で劇的な効率化を実現する
業務改善ミエール・デ・キールの片所(カタショ)です。

銀行の待ち時間を減らすためには、何ができるのか?

私は、前代未聞のユニークなコンシェルジュだったと思います。
ATMのご利用上の注意を紙芝居風に解説している人は、
他にはいないと思います(笑)

1.「待たされる理由」 と 「待ち時間の目安」 のご案内

理由がわからずに待たされたり、待ち時間の予想がつかないことに対して
苦痛を感じるのは、道路の渋滞や電車の遅延と同じです。
工事中なのか事故なのか、まず原因を知りたいですし、それがわかれば、
ある程度の覚悟や諦め、予測、自身の行動を決める材料になります。
もちろん、具体的にどのくらいの時間がかかるのかがわかれば、
それに越したことはありません。

私は、すいている日には「なぜすいているのか」について説明をしていました。
「水曜日は商店の休業日なので」「給料日の前の週なので」という具合です。
これを聞いて、次からご来店日を調整なさるお客様がいるかも知れません
次第に繁忙日に対してご理解をいただけるようになっていきます。

ロビー中央あたりに、
下の図のような待ち時間案内板を立てて、お知らせをしていました。
給料日のほか、年金振込日、月末繁忙日、税金収納期日など、
適宜カードを差し替えて使いました。
店頭のEYE-QUE(アイキュー:窓口番号札システム)には、
「〇人待ち」という表示が出ていましたが、
お客様にとっては「〇分」という時間の方が欲しい情報なのではないかと思います。

この時の待ち時間の目安は私の目見当でしたので、
「告知した時間よりも長かったら苦情になるのではないか?」と、
心配の声もありました。 でも、何も知らされずに、
「こんなに待つとは思わなかった」と言われるよりも、
誤差はあっても、目安を知っていただいた方が良いだろうと考えたのです。

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2.ATMの休止原因についての説明

給料日には大抵、複数台のATMが休止になってしまいます。
そのため長い列で待っているお客様は、一層イライラが募ります。
「今、現金を補充しておりますので、少々お待ちください」と言うと、
「朝からいっぱいに詰めておけ!」などとお叱りの言葉も飛んできます。、
ATMからは、限りなくお金が出てくるものだと思い込んでしまいがちなのです。

そこで、
「ATMは自動販売機と同じように、みなさまからのお引き出しが続きますと、
 お金が空っぽになってしまいますので、詰めなくてはなりません。
 またATMは貯金箱のようでもあります。みなさまからのご入金が続いて
 いっぱいになってしまうと、ご入金できなくなってしまいますので、
 適量を抜き取る必要がございます。」 などとご案内をしました。
自販機や貯金箱という具体的なイメージができると、
「あぁ、そうか」という表情で、うなずく方もたくさんいらっしゃいました。

3.ATMの故障原因についての説明

口座を開設してキャッシュカードは郵送されてきたけど、
「ATMってどうやって使うの?」
どこにも書いてないし、誰も教えてくれません。
ぶっつけ本番で機械の前に立たなくてはならないのです。

お客様が誤った操作をしたために、ATMが休止になってしまうことが、
非常に多かったこともうなずけます。

長い列で待たされた上に、機械が【故障】したとあっては、
「お客様がお札と一緒にレシートを入れたのが原因でした」などとはなかなか言えず、
ただひたすらにお待たせしたことをお詫び申し上げるのみでした。
しかし原因が自分にあることを知らされなかった場合は、
次にまた同じことをしてしまう可能性があります。

「原因は何だったんだ!」と問い詰められて、答えた場合、
当のお客様は強気に出ていた分だけ、他のお客様の前で恥ずかしい思いをすることに
なってしまいます。

ですから、機械がトラブルを起こさないように、
お客様には事前にご注意を申し上げる必要があるのです。

①破れかけたお札を入れると中で引っかかってしまい、取扱休止になるので、窓口へ。
②セロテープでとめたお札は、機械では対応できないので、はじめから窓口へ。
③新しいお札は、静電気でピッタリくっついて機械が数えられないことがあるため、
 一旦縦横に折り目を付けてから、背中合わせに重ねた方がよい。
④輪ゴムやレシート、クリップを入れると、故障の原因になるので、注意が必要。

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               ※当時はボール紙にマジックで描いていました。


はじめは否定的だったお客様も、次第にその意味をご理解いただけるようになり、
私は、お客様の隠れた不満や不便を探し出すこと、
それを何とかして解決する方法を考えることにおもしろさや遣り甲斐を感じて、
その後12年以上にわたってコンシェルジュを続けてきました。

             
             「できることは、まだある!」ので 次回に続きます。

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