「不祥事を起こしたらどうなるか」を教えるべき
りそな銀行に勤務するパートの女性が、
来店した芸能人の個人情報を漏えいさせる事件が起きました。
家族に「芸能人の〇〇が来店した」と話すだけでも、
その銀行と取引がある(または取引しようとしている)ことを漏らすことになりますが、
今回は、手続きのために提示した免許証を勝手にコピーして自宅に持ち帰り、
さらに、そのパート女性の娘がTwitter上で拡散させたというのです。
個人情報の保護をはじめとする法令順守については、
どこの会社でも指導を行っているはずです。
しかし、「個人情報を流出させないように」と言うだけでは、
その重要さを理解できません。
「どのような行為をしてはいけないのか」や
「不祥事を起こしたら、その後どうなるのか」について、
具体的に考えさせることが大切です。
ひとたび不祥事を起こせば、マスコミや興味を持った個人によって、
本人やその周辺を詮索され、特定され、その内容がネット上にさらされてしまうのです。
これまでにも、不祥事を起こした人について、
名前と顔、自宅住所、家族の名前と写真、家族の勤務先(学校)、
過去の言動から日頃の様子までがこと細かくネット上にアップされてきました。
それらを「自分のこと」として置き換えて考える必要があります。
自宅周辺には、連日大勢の人が押しかけ、
外出はおろか、家族も仕事(学校)に行けない状況に陥ってしまうでしょう。
家族の昇進・進学・就職・結婚に影響が出たり、
自宅を手放して転居することになったり、というのは、
これまでに聞いたことがあるのではないかと思います。
就職の際に保証人を立てたならば、
その保証人さんの信頼を裏切り、いったいどれほどの迷惑を掛けることになるでしょう。
会社はマスコミの取材攻勢を受け、
お客様へのお詫びや省庁への報告に追われます。
これは日頃の業務に上乗せされるので、当然、残業が発生します。
通常業務に支障をきたすことになり、他のお客様にも影響してしまいます。
原因の究明や今後の防止策には数ヶ月から年単位がかかり、
とてつもない損失につながります。
これまでの規定を見直し、いっそう厳格化され、事務作業が煩雑になるでしょう。
管理職・経営陣は責任を追及され、降格・減給などの処分がされます。
今回のように、本名や住所がさらされた芸能人は、転居の必要が出て来るでしょう。
つい先日も、引っ越し業者が片付け作業中の芸能人の写真や部屋の写真と、
転居前後の住所を同僚にメールで送っていたという不祥事がありましたね。
不祥事を起こせば、
自分だけでなく、家族や他人の人生を狂わせてしまうことになるのです。
もし、自分が不祥事を起こしたらどうなるのか。
もし、同僚が不祥事を起こしたらどうなるのか。
それらを具体的に、イメージさせる教育が求められます。