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ハーバードビジネススクールの日本スタッフとして働く中で、気づいたこと、感じたこと、考えたことを、ゆるゆるとつづります。

【番外編】全米最大のOtakuの祭典、アニメ・エキスポに行ってきました(2)

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「うわあ...」

いろんな肌の色の、いろんな髪の色の人たちが、いろんな服を着て、髪も肌もさらに色とりどりになって、わいわいやっている。国や人種は違えど、誰もが「この人はアニメが好きなんだろうな」というオーラをまとっている。

古今東西、いろんなコスプレがある。ドラゴンボール、セーラームーン、メイド、スーパーマリオとルイージ、白雪姫と7人の小人、シンデレラ、NARUTO、ワンピース、もののけ姫、トトロ(らしきもの)、ツッパリ...ものすごく素敵だけどいったいあなたはどこのお姫様?という人、それは物体ですかそれとも何かのメタファーですか?という人、バイオハザードか?!みたいな集団もいたりする。三原さんによると、これらのコスプレはすべてハンドメイドで、その製作も楽しんでやっているそう。カメラを向けると、とても気さくに、たぶん鏡の前で練りぬいたであろうポーズを取ってくれる。

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s-P1020034.jpgちなみに数が圧倒的に多かったのはNARUTOの登場人物たちのコスプレ。それからヘタリア。ヘタリア(下の写真参照)は、インターネット発の世界大戦時代の国擬人化歴史コメディアニメで、私自身はアニメ・エキスポでプロモーション映画を見るまで、存在すら知らなかったが、非常に面白い。帰ったら絶対チェックしようと心に決める。

s-P1020037.jpgアニメファンの熱狂は、週末のLAのダウンタウン全域を完全に占拠。もともと週末はほとんど人がいないといわれるダウンタウンだが、いやはや。朝から晩まで、街中、コスプレイヤーしか歩いてない。おそらくあの週末のLAのホテルの客は、ほぼほとんどがアニメ・エキスポ関係者だったのではないだろうか。

 

1日半いろいろ見て回って、街に出てもコスプレーヤーばかりで、パーカーとジーンズという服装の自分が浮きまくっているような気分になってきた3日目、社長以下、総出で会場に来ていたBE社のみなさまにインタビューを行った。

インタビューを通じて学んだこと。数年前、北米における日本のアニメの売り上げが伸び悩み、軒並み、日本のコンテンツの配給会社がアメリカから撤退したが、それはアニメ好き人口が頭打ちになったからではない。むしろ、アニメ・漫画ファンの人口は増えており、裾野は広がっている。

問題は、インターネットの普及、「フリー」の拡大の中で、DVD販売といった既存のビジネスモデルが立ち行かなくなってきているということ。そして新しいモデルがまだ見つからないということ。これは、音楽業界がこの数年で経験してきたこと、電子書籍が一気に拡大していく中で、既存の出版業界が直面するであろうことと、全く同じ。要は、日本のアニメの人気うんぬんではなく、著作権にからむ業界がインターネットによるゲームのルール変更にどう対応するか、という問題であった。

 

となると、Cool Japan政策をどう進めるか、というところにも、大きな示唆がある。もしCool Japan政策が、あくまで文化政策で、日本のコンテンツを楽しむ人たちを世界中に増やす!というものであれば、「フリー」化の流れは追い風ともいえる。一方、Cool Japanを産業政策と捉えるならば、DVD、漫画販売を超えた、新しいビジネスモデルを立ち上げない限り、お金が入ってこないので、今の傾向は逆風となる...

経済産業省に新たに「クール・ジャパン室」もできたそうだし、今後の政策の行方も、興味深く観察していきたい。(「Cool Japanを文化政策と捉えるか、産業政策と捉えるか」という視点は、アニメ!アニメ!の数土さんより教えていただいた。ありがとうございます。)

 

自分一人では決して見ることがなかった世界を、「シゴト」ではなかったけど、もともとは仕事を通じたご縁で、体験することができた偶然に、感謝。これも役得だなあと思います。そして、松井先生、三原さんに感謝。ありがとうございました!

夏の間にBE社のケースのドラフトは書く予定。2010年冬号の一橋ビジネスレビューをお楽しみに!

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