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ハーバードビジネススクールの日本スタッフとして働く中で、気づいたこと、感じたこと、考えたことを、ゆるゆるとつづります。

「HBSミーツ東北」を振り返って思うこと:ボランティアって何だ?

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ハーバード・ビジネス・スクールの学生たちが、女川石巻大船渡陸前高田福島南三陸を駆け巡った1月11日からの4日間.。

実は同時に学生たちが東北の復興を事業として取り組む6つの企業や団体を調査・インタビューし、HBSケースを作成する、というプロジェクトが走っており、そのために学生たちはさらに2日間東北に滞在していた。が、こっちも書き出すと大変なことになるので、これはまたいつかどこかで。

今回もろもろの企画をし、4日間現地の方々と交流する学生たちとみっちり時間を過ごした中で、いろんな気付きがあった。中でもずっと考えていた「ボランティアって何だ?」ということをまとめて、「HBSミーツ東北」シリーズを終わりにしたい。


★★★


前もちょっと書いたが、HBS側からの当初の依頼は「週末学生が東北でできるボランティアをアレンジしてほしい。できれば体を動かすようなもの」というものだった。

第一回Japan IXPで約20名の学生が来た2012年1月ごろは、がれきの撤去など、とにかく人手を必要とする作業がそこかしこにあった。大学生であれ社会人であれ、日本人であれ外国人であれ、「行って体を動かせば役に立てる」ことはまだあった。


しかし、その後状況は相当変化。行けばとりあえずなんらかの役に立つ、みたいなことはもうほとんどない。「HBSの学生30名」というグループが来て何かやることが、受け入れ側の未来をちょっとでも明るくする、希望につながる、という結果にならないと、ボランティアどころか、単なる負担になりかねない。

つまり、今の現地のニーズに合った形での活動を企画する、ということになるが、これは言うは易しだ。そもそも現地の人にとってはHBSって何だ?という感じだし、ニーズなんて満たされてはじめてわかるようなものだし。


そこで大活躍したのが、ブリッジ役を担ってくれた各地の友人たちだった。彼らが「現地の人たちとHBSの学生が一緒にいる」という姿をイメージし、そこにどういった活動が加わったらその時間が輝いて、その結果現地の人による未来づくりに役立つのかを考えてくれ、現地の人たちとも丁寧に調整してくれたから、絶妙な配置と活動内容となった。

彼らの前向きな想像力なくして、また彼らがこれまで築き上げた現地での信頼やネットワークなくしては、絶対できなかった。


そうやって、案が出来上がっても、今度はそれをボストン側に伝えて納得してもらうというプロセスが待っている。ある時期は私は何度も似たような文面をHBSのスタッフや先生たちに送っている。

"I have talked to people in the field and everyone says the best "volunteer" activity HBS students can do is to understand them, talk to them and keep in touch with them after the visit if possible - this gives hope for the future to people in the area and hope is what is needed most.

(現地で活動している人たちと話をしていますが、彼らはHBSの学生ができる最高の「ボランティア」活動とは、現地の人たちを理解し、話をし、今後もつながり続けられるようになることだと言っています。それが人々に未来への希望を与えることになり、希望こそが最も今必要とされているから。)


すんなり理解されたとはいいがたった。理解・共感を軸に置くと、どうしてもHBSの学生がお客様、という感じの企画になり、それじゃ「ボランティアにならないよ」というつっこみがボストンから入る。

そこで友人たちにも無理を言って企画の変更をお願いしたり、時にはメールを見落としたふりをしてあえて返信しなかったり...最後はどたばたの中で押し切った感じでもあった。


もう一つボストン側とのやりとりで浮上した問題が「お金」。通常のボランティアツアーだと支援の意味も込めて受け入れ側に対して幾分上乗せした参加費を支払う。準備のための時間や労力を考えると妥当なこと、だと思う。

でも学校としては「学生たちが行くことで役立つ(=ボランティア)」「学生に教育の機会を提供することに賛同してくれるところに伺う」というスタンスなので、必要経費は払うが講師料などの支払いはできない。

今回は、それはそれで理解できるといって、間に入った友人たちがぐぐっと飲み込んで動いてくれたので、何とかなったけど...もしこれを支払えたら、現地との、また現地の中でのコミュニケーションはもっと楽になっていたかもしれない、と思ったりする。


こうした壁を乗り越えつつ、生糸をつむぐように丁寧に企画がつくられた。でも実際には学生がやってきてそこでどんな時間になるか、で、決まる。学生たちが、なんか傲慢だったり無気力だったりしたら、すべてが水の泡。いや、泡で消えるぐらいならまだいいけれど、関わってくださったすべての方々の信用すら傷つけることになる。

これは心配は杞憂に終わるどころか、ぶっとばされた。何度も書いてきたけど、HBSの学生は本当に本当にすばらしかった。どこに行っても、学生たちは真剣に学んだ。話にじっと耳を傾け、矢継ぎ早に本質的な質問をした。

そして真剣に活動に取り組んだ。コンクリートを一生懸命運んだ。高校生が英語ができなくて議論が止まってしまったら、歌をうながし、自分たちも歌った。海風が吹き付ける中、震えながらも丁寧にブイに屋号を描いた。1時間、本気で議論して、あんかじゅと小野花匠園への提案をまとめた。

あんたたち、まじえらいよ、すごいよ、これこそ世界のリーダーだよ。


だから、もう「ボランティア」じゃなかった。いうなれば「一期一会のコラボ」。

そしてそれは、現地で信頼とネットワークのある人が前向きに橋渡しと企画をしてくれて、その前向きさにつられて現地の人たちも前向きに準備してくれて、そしてやってくるほうも真摯に学び思いっきり楽しむ姿勢をもっていて、初めて実現したもの。


そういう一期一会を続けていく中から、長期的に続けていけそうなコンテンツを抽出して、磨いて、定番化する仕組みを作って、さらに現地との信頼関係を深めて、ようやく今回お世話になった、復興応援団JEN岩手県北(経営共創基盤傘下)がやっているような「ボランティア」活動ができあがる。

とりあえず参加したら充実した活動ができ、また行きたいと思って、受け入れ側も参加してくれたことをうれしいと思うような「ボランティア」の仕組みを作り上げるまで、どれだけの手間ひまがかけられ、チューニングがなされてきたか。すごいことだ、とつくづく思う。


ボランティアなんて簡単にできるもんじゃないんだ。心と頭をフル回転させていろんな人のがんばりがあって、互いをそして未来を信じる気持ちがあって、ようやくできるものなんだ。

きっと企業の復興支援も、同じ。

★★★


...ということで、とにもかくにもHBSミーツ東北のボランティアあらため一期一会のコラボを実現させてくださったすべてのみなさまに、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。これにてHBS東北紀行、終わります。

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