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【書評】「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?

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よく、私の仕事って何?って聞かれますが、一言で言ってしまえば、日本の中小企業の海外販路開拓支援サービス、ということになります。それを、中国の巨人アリババが築き上げたAlibaba.comという世界最大のクロスボーダーB2Bサイトを活用してやるところが特徴です。

インターネットのおかげで、世界中の人とコミュニケーションするために必要なお金や時間といった壁はかなり低くなりました。私がFacebookを通じて、毎日地球の反対側にいるような友達と普通に会話できるのもインターネットのおかげです。

世界はフラットになった。そして世界中の人が近くなった。これがグローバリゼーション。

でも、世界の人の英語力があがって、同じ情報が瞬時に世界を駆け巡るようになっても、「ローカル」の伝統や人々の意識・ロジック、好み、文化、は依然として、確かな違いとして残っていく。だからローカリゼーションはグローバル化された世の中においても非常に重要である、ということについて書いてあるのが、表題の「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのかです。

こちらは、日経ビジネスオンラインで「ローカリゼーションマップ」として連載されているものをまとめたものですので、すでに読んでいた方も多いかと思いますが、「なるほど」と思うことばかりで私が楽しみに毎回読んでいた記事の一つでもあります。

国や地域によって、独自の文化、考え方、価値観、ロジックがある、なんて、あまりにも当たり前に聞こえますが、これが意外と分かっていないことが多い。それは、アメリカにいた時の自分自身の経験でもありますし、今の仕事で企業をサポートしていてもとても感じます。

しかし、本当に海外にモノを売ろうと思ったら、やはり国内と同じコミュニケーションでは駄目です。メイクアップの例がとても分かりやすいですが、日本で重視されるのは、綺麗な肌、イタリアでは香り、などと、何を重視するのかの価値観が違っていたり、また、中国人が「しっとり」と思う保湿と日本人の「しっとり」は違う、など、言語の翻訳ではわからない違いがあります。

こういった違い、というのは、どんなに自分で理解しようとしてみても、なかなか頭で理解できないことが多いです。そんな話が「腑に落ちなくても従う」、パナソニックの欧州白物家電戦略」でも紹介されていますが、納得はできないが、ローカルなドイツ人の意見を最終的に聞くことによって成功した、という例です。

男と女が一生お互いを100%は理解できないのと同じで(笑)、外国人を理解しようと思ったら、現地の人に多く話を聞いて、「変な感じだけど、そんなもんか」くらいのスタンスで受け入れていくのがいいんじゃないかと思いました。

正直言ってしまうと、この本を読んだからといって、あなたの製品を海外でどのように売ったらいいのか、という答えは出ません。また、文中で「日本を出した方がいい場合」と「日本をあえて出さない方がいい場合」の例が両方載っており、また、現地の人の言うとおりにして成功した例と、相手の意見を聞きすぎて伝統を壊してしまった失敗例も両方あり、いったい何が正解なんだろう、と本当に悩むところだと思います。

しかし、せっかくのインターネット時代。まずは多くの人と交流し、多くの情報を集め、ローカルの人の嗜好、ロジック、生活様式を理解しようとするところから始めればいいのではないでしょうか。仮説を立て、それを検証し、また仮説を修正する、といった作業を繰り返し繰り返しやっていくことが、最終的な成功への確実な道筋のように今は考えています。

日本の企業の製品がもっともっと海外市場で受け入れられていくように、私も自分の仕事に全力を尽くしていくのみです。

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