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「朝のカフェで鍛える実戦的マーケティング力」を読んで

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前回のオルタナ会で永井さんに著書をいただき、楽しく読ませていただきましたので感想などをまとめておきたいと思います。

ストーリーに乗ってわかりやすく簡単に読める法人マーケティング入門

マーケのことを何も知らない主人公の久美ちゃんが、仕事で葛藤しながらも少しずつ本質をつかんでビジネスでも成功していくというストーリーに乗って、本当に楽しく楽に読み進めることができました。この久美ちゃん、私と同年代ですが、結婚まで!ああ、羨ましい(笑)なんて思いつつ、やはりこの辺はワークライフバランスを重んじるIBMの影響でしょうか。なんて。
私はもちろんマーケティングは社会人になってからずいぶん勉強しましたし、MBAでもマーケティング戦略に力を入れていたので内容的に簡単、とは言え、分かりやすい例も豊富で全く知らない方でも十分理解できると思いました。
また、これが法人マーケティングを志す方の一冊目となれば、最初から難解で消費財の例ばっかり満載の解説書で挫折することもなく、法人マーケティングのおもしろさと本質が掴めると思います。

そうそう!そうなんだよね!誤解や勘違いの例が満載

よくある勘違いの例が満載で、読みながら「そうそう!」と大きくうなずいていました。数字やデータの読み違い、価格競争に陥る価格戦略の間違い、目立つだけ広告の間違い、小手先の対処療法などなど。
文中で指摘のある「顧客の言いなりになること=顧客満足向上と思っている」例は結構多いのではないかと思いました。本当の問題を顧客自身が分かっていない、というのはマーケティングに限らず、私のように企業にサービスを提供しているプロフェッショナルでも常に意識しなくてはならない点でしょう。以前の上司も「always ask why」だと言っていましたが、顧客から、「○○したいんだけど」、「○○が欲しいんだけど」と言われた時は必ず、「why」と聞くことで根本の問題、本当に達成したいことなどを探っていくことを私自身も心がけています。

永井さん、30冊は多いです

最後に、もっとマーケティングを極めたい方に、「さらに深くマーケティングを理解するための30冊」として永井さんお勧めの30冊が紹介されているのですが、この中で私が読んだことがあるのは5冊だけでした・・・。が、言い訳をするわけではないですが、マーケティングも進化していますので、新しい情報をいろいろなところにアンテナを張って仕入れることも必要だと思います。IBMさんから学ぶことも多いです。

最後に。私が学んだマーケティングのこと(予告)

本を読んでいての一番の収穫は、私の脳が刺激され、ボストンで学んだことが洪水のように頭の中に鮮明によみがえってきたことです。その一つにAMB(アカウントベースドマーケティング)というものがあります。これは顧客に対する付加価値を高めるために、1対1の顧客別のマーケティングをするというものですが、これはIBMさんでも実践されていらっしゃることです。私は実際にIBM社でABMの立ち上げに関わられた方のお話を直接聞くこともできました。ABMについては別のエントリーできちんと書きたいと思います。

あともう1点。価格戦略についても色々学んだのですが、すごく印象に残っているのが、「顧客アンケートで得られたwillingness to pay(○○円なら払ってよいという価格)を信用するな、ということです。これってよく使われる方法ですよね?なぜ信用できないのでしょう?それもまた別エントリーで。(笑)

私は上司の勧めで読んだ「crossing the chasm(邦題キャズム)」が、私にIT業界でマーケティングをやっていきたい、と思ったきっかけの書でした。「マーケティング」と言っても、「広告またはセールスプロモーション」と何が違うんだと言う方、(そんな方はオルタナ読者には少ないと思いますが)、にいっぱいこの本を読んでいただいて、日本全体のマーケティング力のボトムアップになればいいなと思います。

マーケティングって本当におもしろいですね。

 

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