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アジャイルや機械学習、リーンシックスシグマなど、日々の仕事の中で見て聞いて感じた事を書き留めています。

FIRSTロボティックス

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今週末は高校生の息子がロボティックスの大会(FIRST)に出かけているので、家で静かな時間が過ごせます。

FIRSTは米国を中心にした世界25カ国が参加する、小学生から高校生によるロボティックスの競技会です。小学生レベルはレゴでロボットを作りプログラムを組んで動かし、それを競い合うもの。一方高校生になると、キットを使って自由にロボットを組立て、それをプログラムを組んで動かし、ゲーム(大会)で戦わせる、というものです。

高校生になるとキットの内容もゲームの内容も毎年異なるので、毎年新しいロボットを作らなければならず、しかも与えられた時間は6週間しかないので、FIRSTロボティックスは結構大変な作業になります。

1. さまざまな思惑

ロボットやAI、プログラミングの重要性が叫ばれる中、FIRSTロボティックスの人気も高まっています。地元のエンジニアリング系企業(機械やコンピュータ)が高校のロボティックス・チームのスポンサーとなってお金を出すだけではなく、高校にエンジニアを派遣して高校生を指導しています。将来、ロボットやAI、プログラミングに長けた地元の学生を採用したいという、企業側の動機がそこにあります。

また大学のエンジニアリング部門(奨学金を含む)やエンジニアリング系の会社に入るとき、FIRSTロボティックスの経験者が優遇されるとあって、高校生側もFIRSTロボティックスに参加する強い動機が働いているようです。

高校にとっても、自分のところのチームが地区優勝や全国優勝となれば、政府からの補助金が増えるのでしょうか(?)。高校もFIRSTロボティックスへの参加は非常に積極的です。

かくして、高校生、大学、地元企業、高校の先生方、父兄などの思惑が一致し、FIRSTロボティックスの人気が益々高まっています。

2. 地域格差

ロボットを作り、それを持って泊りがけで各地の大会に参加するためにはお金がかかります。裕福層が多く住む地域はお金が簡単に集まりますが、貧困層が多く住む地域はお金が集まりません。そのため、FIRSTロボティックスのチームがある高校とない高校があるようです。

チームがない高校の生徒は、望めば、チームのある他の高校のチームに参加して一緒に作業ができるようですが、ここでもアメリカの地域格差、所得格差の問題が見え隠れします。

幸いにも息子が所属するチームには地元企業からのスポンサーが付いたためにお金がありました。息子によれば、息子のチームは今年は三台もロボットを作ることができたそうです。一つは練習用、一つは試合本番用、そして一つは試合用が壊れた場合の予備用ということです。

「三台もロボットを作るなんて、他の高校でも同じことやっているのか?」と聞いたところ、「多くの高校はお金がないので一台しかロボットを持っていない」との答えでした。

「それでは公平とは言えないのではないか?」と言うと、「それが人生さ」と分かったような分からないような返事が返ってきました。

3. 大会のための遠征と女の子たち

今週末は各地で大会は開かれています。息子もウィスコンシン州からオハイオ州まで、高校がチャーターした観光バスに乗って遠征しました。二泊三日の遠征です。同じウィスコンシン州のチームでも、ある高校はミシガン州に遠征し、ある高校はミネソタ州に遠征するという具合です。もちろんバス代、宿泊費、食費等は各家庭が負担します。

あと何回このような遠征が続くのかは、それぞれの大会の結果次第ですが、所得格差の激しいアメリカでは家庭への負担は馬鹿にはならないでしょう。しかしロボットやAIが注目される時代とあって、どの家庭も若いうちから積極的に子供をこのような機会に参加させるようです。

ロボットやAIと言えば男ばかりの世界だと思っていたので、息子に「男ばかり長時間バスに詰め込まれてオハイオまでは大変だね。野郎たちの臭い靴下の匂いを想像しただけで、げんなりする」と言ったところ、「半分は女の子だよ」との返事。「え???」

それを始めから知っていたら、父兄としてロボティックス・チームを手伝っていたのに、今となっては後の祭りです。それにしても、多くの女の子がFIRSTロボティックスに参加しているとは意外でした。

ロボティックスのチームは、プログラミング班やメカニカル班などに分かれて作業するようですが、多くの女の子はメカニカル班だと息子は言っていました。うちの会社の機械エンジニアは男ばっかりなので、メカニカル班は男ばっかりで、プログラミング班に少しだけ女の子がいるのではないかと思ったのですが、実際はまったく違うようでした。時代は変わっているのかもしれません。

4. 日本の現状

ウィキペディアによると、日本のFIRSTロボティックスへの参加チーム数は25カ国中14位で、中国と比べてもはるかに低い数字となっています。ロボットやAIの重要性が叫ばれて久しいのですが、ここでも日本の存在が薄く、中国に大敗しているところをみると、残念な気持ちになります。もっと多くの日本の若い人たちがこのような世界で活躍してもらいたいと思います。

5. 提案

貧乏の中にあっても、類まれな才能に恵まれ、困難を克服し成功した物語を主題にした映画がたくさんあります。バスケットボールであったり、野球であったり、学者であったり、政治家であったり、様々です。

そこで提案なのですが、貧乏ながらも、類まれなプログラミング才能に恵まれた、ある天才日本人の高校生が、FIRSTロボティックスの世界大会で圧倒的な勝利を勝ち取り、一斉に世界から注目を浴びるようになり、世界的な天才ロボティックス・エンジニアとして成長していくような映画を誰か作ってくれませんか。

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