一人での食事
一年ぶりにポーランド(Katowice: カトヴィツェ)を訪れています。昨年に引き続き、たった2度目のポーランドですが、来るたびに物価が安くて人々が親切で、とても良い所だと感じます。昨年は冬のポーランド、そして今回は初夏のポーランドを見ることができ、ますますポーランドが気に入りました。
今回も週末を利用して少しだけ足を伸ばし、宮殿の都市 Krakow(クラッカウ)を訪れました。昨年訪れた雪に覆われたKrakowはとても静かで美しく、観光客もまばらでした。今回訪れた初夏のKrakowはヨーロッパからの観光客で賑わっており、とても活気に溢れていました。
今はどこに行っても中国人が団体で歩いているので、日本人の僕が一人で何をしていようと気にすることはないのですが、僕が知る限りKatowiceやKrakowは違います。ここでは東洋人を殆ど見かけません。そのため僕が一人でレストランやバーに入ると、大抵の客が一斉に振り向き、じろっと僕に一瞥くれます。特に観光地ではないKatowiceではそれを感じます。
他の客から一瞥を貰いながらレストランやバーに一人で入るとき、今でも日本から来られていた取引先の海外営業部長さんとの会話を思い出します。
この部長さんは僕がアメリカで一人働いていることをいつも気にかけて下さり、日本からアメリカに出張で来られた際はいつも僕に声をかけて下さいました。もう20年前くらいのことになりますが、あるとき一緒に食事をしながら部長さんに尋ねたことがあります。
「部長は格好が良いですね。部長はどこに行ってもいつも日本語で"ありがとう"と言ったり"おはよう"って挨拶したりするのですか?」
すると部長さんは、
「あなたねぇ、どこに行っても朝に挨拶すれば"おはよう"に決まっているんですよ。何かのあとに笑顔で感謝を示せば"ありがとう"に決まっているんですよ。別にその国の言葉を使わなくても通じているのですよ」
とおっしゃいました。
この部長は決して英語は上手ではなかったのですが、いつも皆に大きな声でしかも日本語で手を上げながら「おはよう」「ありがとう」と言っていたので、社内でも人気の人でした。外見上は昔の日本人よろしく背も低く、眼鏡をかけて、歯並びも悪く、決してダンディな感じの人ではなかったのですが、僕の目には堂々としていてとても格好良く、同じ日本人として誇らしく思っていました。
他にも
「部長はいつも一人で海外を周っていますが、一人でのレストランでの食事は面白くないんじゃないですか?僕は苦手ですね」と聞くと、
「あなたねぇ、一人での食事を楽しめるようにならなければ、本当の国際人にはなれませんよ」
とおっしゃいました。
その言葉以来、一人での食事を少しでも楽しめるようになるために、出張先では一人で地元のレストランやバーに入るようにしています。
しかしあれから20年以上が経ち、僕も部長さんと同じような年齢になりましたが、未だに部長さんの境地には達していません。やはりお酒を飲むなら話し相手があった方が楽しいですからね。
Katowiceのビールバーにて、