ハリウッドの良心
昨日11月29日に中曽根康弘元首相がお亡くなりになられました。まずは中曽根元首相のご冥福をお祈り致したいと思います。
「海軍主計大尉であられた中曽根元首相がこの映画をもしご覧になったら、どのようにお感じになられたであろうか」と思いを巡らしながら、今月封切られた映画「ミッドウェー」を観てきました。
一言で感想を述べれば、「当初の心配をよそに、日本軍とアメリカ軍を対等に扱った大作に、ハリウッドの良心を大いに感じた」ということです。そして日本軍の英霊達、それに対抗するアメリカ軍の英霊達、両方が国の誇りを賭けて戦う姿に深い感動を覚えました。
当初の心配と実際の映画
ハリウッドに中国マネーが深く浸透していることは周知の事実ですが、映画「ミッドウェー」も例に漏れず、莫大な映画製作費のうち四分の一を中国資本が提供していると知って、映画を見る前はその内容に大きな懸念と疑念を持っていました。(政治的な内容はこの場にはふさわしくないので書きませんが、僕の懸念と疑念がどのようなものであるかは皆さんにもご想像できるのではないかと思います)
ところが2時間20分ほどの映画のうち、中国のプロパガンダを感じた箇所はたったの5か所、それも時間にして合計20秒程度のことでした。
- 日本軍のパールハーバー攻撃とナチスを同等に扱ったテロップが流れた
- アメリカ軍は「中国を助けるために」東京を空爆するというパイロット達の会話があった
- 日本軍は(中国軍の施設ではなく)中国人をターゲットに攻撃するという中国人の発言があった
- 日本軍が捕虜にしたアメリカ軍兵士に錨をつけて海に沈めるシーンや中国人を痛めつけるシーンがあったにも関わらず、日本人がアメリカ人や中国人に惨殺されるシーンは一切ない
- 日本軍は25万人(???一瞬の事だったので数字は不正確)の中国人を虐殺したというテロップが流れた
四分の一の映画制作費を中国資本が提供しているにも関わらず、たったこれだけの情報操作で済んだことには正直に言って驚きました。むしろ大破して海に沈む空母と命を共にする日本軍将校たちをサムライ魂に重ね合わせるなど、日本軍への敬意をしっかりと払っているのです。そのようなところに、お金では買うことができない常識と良心がハリウッドにはまだ残っているのだと、つくづく感じました(日本のメディアもそうであって欲しい)。
それ以外は日本軍とアメリカ軍が死闘を繰り広げる様子を、史実に基づきながら、両方の立場と愛国心から、淡々と描いていました。
もちろん莫大な製作費と最新のコンピューター・グラフィックスを使ったハリウッド映画ですから、画像は文句なしに素晴らしものでした。70年前のレトロ調の色使いとは対照的なリアルな戦闘シーンは必見です。
日本の俳優達
山本五十六大将を演じる俳優、豊川悦司氏を始め、日本人の俳優達の演技はとても素晴らしいものでした。日本のそうそうたる俳優達を使い、日本軍が話す長い会話もすべて日本語のままで残してくれたところにもハリウッドの良心を感じることができました。
穿った見方をすれば、日本での配給(興行収入)が計算にあるのだとは思いますが、仮にそうだとしても、これまでのハリウッド映画にはない日本(日本軍)の扱いであることには間違いはないと思います。
英霊達への感謝
日本とアメリカ、両国の英霊達の勇気や愛国心には感謝せずにはおれません。平和の続く現在、我々にできることは英霊達への感謝を忘れないこと、国を守ること、二度と戦争を起こさないことだと思います。この映画は、僕にそんな気持ちを再び呼び起こしてくれました。
日本の敗因
映画の内容を明らかにすることはできませんが、日本軍がミッドウェー海戦(及び第二次世界大戦)で負けた理由は、現在の日本経済や企業経営と同じようです。2019年2月18日に日経新聞が「平成日本失速の研究 日の丸半導体4つの敗因」と題して挙げた4つの理由がそれに当たります。
- 組織と戦略の不適合
- 経営者の質
- 強すぎる自前意識
- 技術偏重、マーケティング軽視
ミッドウェー海戦から今に続くまで、形こそ異なれ、日本が負けるときの理由は70年経ってもあまり変わっていないようです。
以上は戦争や経済を知らない僕が感じた薄っぺらな感想です。一方、海軍大尉とし戦争を直接経験し、その後日本経済の復興のために尽力された中曽根元総理がこの映画をご覧になったらどのように感じるのでしょうか。今となってはもう知ることはできません。