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日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

速くするために、遅くする

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型どおりの理解しかしなければ、状況が変わっているのに、過去の解決策をそのままあてはめてしまう。アメリカの経営者は、素早い判断こそ重要だと思っているが、状況が変わった時に必要なのは、スピードを落とすことだ。スピードを落として、じっくり観察し、自分の立ち位置を知る。その上で、内なる知から湧いてくる自然な流れに従って、素早く行動することだ。(p108)
― P. センゲほか 『出現する未来』 講談社 2006年

「スピードを落とす」というのは一種のアートだと思います。とてもエネルギーを使います。

我々は、いろいろな理由で「休みたくても休めない」状況にあります。1日休めば1日分、期末にしわ寄せが行くかもしれません。競合企業が先に行くかもしれません。社内の競争相手が成果を上げるかもしれません。僕のようなひとりカンパニーではスピードダウンの意味するところはシンプルです - 1日仕事をしなければ1日分の稼ぎが減ります。

そういった不安に耐えて「じっくり観察し、自分の立ち位置を知」ったり、湧いてこないかもしれない「内なる知」の湧出を待つことができるかというと、これはなかなか難しい。頭を使うより手を動かしている方が楽だったりしますよね。時々立ち止まってリセットを試みたりするより、お祭り状態のまま突っ走る方が楽。個人でも組織でも。しかし状況は刻々と変わっていきます。

キャリア・チェンジを果たした個人や、変化に対応しつつ成長している企業(部署)の経営者(組織の長)などは、こういったスピードダウンの時期(望むと望まざるとに関わらず)を経験してきているのではないでしょうか。今度人からお話をおうかがいするときには、「スピードダウンの経験」をヒアリング項目に加えてみようと思います。

 

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バンクーバーにいます

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