成長は(思いのほか)重要にあらず
直感に反する指摘ほど、ハッとさせられます。
「株式の投資収益率は、あるセクター(あるいは経済全体)の成長率とは、ほとんど関係がない」
と指摘する下記の記事には、最初ハッとさせられ、やがて納得させられました。
1990 年代のテクノロジー強気論者は、少なくとも1 つの点において正しかった。それは、テクノロジー製品の実質需要が一貫してGDP 成長率を上回ったことである。1990 年代終盤のテクノロジー株投資が低調な結果に終わったことは言うまでもない。逆に、鉱山業界の生産は過去数年間にわたって予想を下回り続け、供給予想は幾度も修正された。しかし、鉱山株への投資は極めて有効であった。
- Gerard Minack(モルガン・スタンレー)、「グローバル:成長は(思いのほか)重要にあらず」、グローバルマクロ経済レポート ウィークリー・インターナショナル・ブリーフィング - 11.06.2007 (← PDFファイルへのリンクです)
これは身に染みます。僕は時間をテクノロジー株に投資して失敗した(=ベンチャーの立ち上げに失敗した)のですが、当時ほんのちょびっと買ってみた資源株が大変高くなっていたりします。ちゃんと分散しておけばよかった……。
それはいいとして、記事はさらに、高い成長率の国に投資しても報われるわけではないという結果を示していきます。
1900 年以降のデータが入手可能な先進16 ヵ国市場においては、GDP 成長率との相関は極めて低い。事実、国民1 人当りGDP 成長率と投資収益率の相関はマイナス(-0.21)である。
- 同上
この原因については、記事では分析がありません。冒頭のテクノロジー vs. 鉱山の部分のコメント(未引用)から類推すると、高成長の投資対象には利益の成長が織り込まれるため、取得価格が高くなるといったことなのでしょう。成長速度の高低でなく、あくまで『利益率の見通しが重要』という記事の主張に、最後は納得したのでした。