10番目の成功法則を見つけたRichard ~ 映画『リトル・ミス・サンシャイン』を観て
『リトル・ミス・サンシャイン』という映画の感想です。ややネタバレ(というかストーリーへの言及)あり。
自ら開発した「成功の9ステップ」"Nine Steps To Success" という、超ポジティブで胡散臭い成功法則を売り込むことに成功できないRichardというパパ。皮肉な設定を与えられたこのパパから目が離せませんでした。
Richardの売り物は、「勝ち組が全てを手にする」という世界観によって組み立てられた成功法則。自らの本を出版できないということは、自らの法則が否定されることになってしまいます。しかし彼は「拒否されたら、その事実を拒否せよ!」(第8法則)という人なので、大きなジレンマに陥ってしまいます。
彼の行動原理の浅薄を笑うことは簡単です。しかし最終的に娘がコンテストに出場できたのは、実は彼の9ステップ的思考(絶対にあきらめない!)のおかげだったりして、斜に構えて観てくると、微妙な居心地の悪さを感じてしまうかも。
ここから先は本当にネタバレになるので割愛しますが、彼はステージで9ステップ的世界観から大きくはみ出す体験をします。きっと修正版の「成功の9ステップ」は、彼がそれを作るとしてですが、全く違うものになるでしょうね。
Richardから目が離せなかったと書いたのは、どこか自分に似ているからです。起業する人は、何かを信じ、それをかたちにし、人に認めて(買って)もらいたいと願います。たいがいのケースでは認めて(買って)もらえないわけで、常に自分や自分の商品への疑いや不安と付き合っています。自分で開発した成功法則を売るというのは非常にチャレンジングなセールスで、それゆえに、彼を笑いつつも応援してしまうのでした。
ここまでくると、「超ポジティブで胡散臭い成功法則」が気になると思います。実は映画ではほとんど出てこないのですが、配給会社のページで見つけました。私訳をつけてみます。
- 負け犬から抜け出る:勝者が全てを手に入れる世界に入り込む。
(Leaving Loserhood: Finding a New Address in a Winner-Takes-All World)- 強く望む。ひらめきに従う。汗をかく。
(Aspiration, Inspiration, Perspiration)- 集中せよ。
(No Hocus Pocus, Just Focus)- ネガティブ症とはおさらばだ。
(Say No to the Negheads)- 「これで十分」は十分にあらず。
(Good Enough is Never Good Enough)- 信頼すれば信頼される。
(Trust and Be Trusted)- ビッグに考え、ビッグに振る舞えば…ビッグになる。
(Think Big. Act Big... Be Big)- 拒否を拒否せよ。
(Reject Rejection)- 決して負けを認めるな!
(REFUSE TO LOSE)成功への9ステップ(『リトル・ミス・サンシャイン』) - *ListFreak