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「思いつき力」というビジネススキル―Podcast原稿

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Podcastの原稿です。喋りながら変えた部分を原稿にも反映しましたので、ほぼ同一のはず。
これでちょうど5分でした。

――
こんにちは。堀内 浩二です。

今回、連続で4回ポッドキャスティングをさせていただけるチャンスを頂戴しました。
せっかくですから「発想」をテーマに、日ごろ考えていることをまとめてみたいと思います。

今日のテーマは…『なぜ、「発想」なのか?』。
なぜ私が「発想」に着目しているか、
なぜそれが大事なスキルになると考えているか、
そんなことを話してみたいと思います。

定義から言えば、発想とは「思いつくこと」そして
「それを表現すること」です。
ですから、ありきたりであっても、つまらなくても、
思いつけばそれは、「発想」です。

しかしここでは、次の一歩につながるアイデアを出すこと、
独創性のある「何かを思いつくこと」。それを発想と呼びたいと思います。

そういった、いわば「思いつき力」とでも言うべき力。
それがこれから、社会人に求められるスキルになってくる。
そう考えているわけですが、
その背景として、いま意識すべき潮流が4つある、ということを説明させてください。
それは、自動化、国際化、仕組み化、そして豊か の4つです。

まず「自動化」。歴史的に見れば、
肉体労働は機械に置き換えられてきたし、
知識労働はコンピュータに置き換えられてきました。
今後も、いまは人間が担っている労働であっても、
それが可能ならば、それが合理的ならば、
機械やコンピュータが代行してくれるようになるだろうということです。

2つめは、国際化。自動化できない、人間ならではの仕事であっても、
それが他の場所でできるなら、国境を越えていくということです。
量産品の生産とか、事務作業とか、日本から国外に流れていく仕事もあれば、
iPodの筐体のステンレス部分とか、携帯電話のある種の部品のように、
国外から日本に流れ込んでくる仕事もあります。

3つ目は、仕組み化、あるいはパッケージ化。自動化とまではいかなくても、
以前は「ノウハウ」として特定の個人や組織に属していた知識、
それが標準化され、共有されるようになるということです。
例えばフランチャイズというのは、小売店の経営ノウハウを標準化して、
大量販売しています。仕組み化が進んだ世界では、溜め込んだノウハウを
切り売りするような商売は細っていくんじゃないかな。
そんなことが示唆されていると思います。

4つめは、「豊か」。物質的に充足した社会になったということ。
何かモノを買おうと思ったときには、だいたい複数の選択肢がありますよね。
逆に言えば、常に複数の提供者が競争しているということです。
競争が働くと何が起きるか。製品の価格対機能が収斂してくる。
消費者からすると、選択の基準が微妙になってくるということを意味しています。

今言ったことの四分の三くらいは、ダニエル・ピンクという方の書いた
『ハイ・コンセプトの時代』という本に書いてありますので、
興味を持たれた方は読んでみてください。

ではこういった潮流の意味するところは何か。
とりわけ、個人のキャリアにどのような影響を及ぼすのか。

自動化、国際化、仕組み化。
これらに共通しているのは、徹底したルーチン化です。
ビジネスは付加価値を付ける競争ですから、
それ以外のところではなるべくルーチン化して、
コストやミスを減らすべく努力します。

ルーチン化が進んだおかげで生産性が上がり、豊かになった。
豊かな社会で競争力になるのは何か。
たとえば、センスがいい商品、美しい商品。使って楽しい商品。
あるいは、ハイ・タッチなサービス。ルーチンを感じさせない、あったかいサービス。
そういった微妙な、目に見えない「価値」が、競争力になってくる。

ではそういった「価値」をもたらす力とは、何か。そう考えてみると、
・たとえば審美眼。センスの良し悪しを感じ取る力。
・あるいは共感力。目の前のお客様に共感できる。
それがハイタッチなサービスにつながる。
・あるいは、独創性。常に違いを産み出す力。
こういった力の基礎、とりわけ独創性の基礎にあるのが「思いつき力」、
つまり発想ではないかと、考えるわけです。

論理的には解が出ない・あるいは出尽くしてしまったような状況でも、
何かを思いつける。次の一歩を選択できる。そしてそれを、表現できる。

そんな「思いつき力」が、今後ビジネススキルとして
認知されてくるんじゃないかな。そんなことを考えています。
――

内容は、昨年から書いたり話したりしていることを下敷きにしています。
肝心の、なぜ「思いつき力」が重要となってくるのか、という部分の論理展開が十分でなく、
やや説得力を欠く内容になってしまいました。

(参考)
ハイ・コンセプト("A Whole New Mind")はお勧め - 発想七日!

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