キットカット(KitKat)の周到なマーケティング
日本に登場して70年になるKitKatは、ほんの数年前までは、変わり映えのしない菓子だった。それが今や、流行の先端に君臨している。
KitKat -- a candy that's been around for 70 years, that was considered just a few years ago an old-fashioned candy in Japan, the opposite of trendy or cool -- became Japan's top seller.しかしこれは偶然ではない。鮮やかで、かつ精妙で、しかも信じられないくらい辛抱強い、販促活動の賜(たまもの)なのだ。
But it didn't happen by coincidence. It happened by a brilliant, subtle, incredibly patient advertising and public relations campaign.
(AlphaMale: How KitKat became Number 1)
以下、上記エントリから抄訳。
- 1年目
- 東京のホテルがKitKatを受験生に無料で配布。ただしネスレがスポンサーであったことは内緒。
- 2年目
- 上記が(広告でなく)記事になる。実は広告代理店が仕掛けた。
- 3年目
- そろりそろりとキャンペーン開始。受験生を応援する、ストーリー性のある仕立てで。
- 4年目
- 消費者(Real People)を前面に出した広告を打つ。商品は現れないが、慎ましくKitKatのロゴが。
はてな - キットカットとは には『「きっと勝つ」にかけて、受験生のお守りとされている向きもある。この語呂合わせは、九州(方言で「きっと勝っと」という表現のある地方があるとか)から火が着いて全国に広まったという。』なんてありますが、これも仕込みなのかな。もし100%販促の力だったならば、ご担当の方はさぞ嬉しいことでしょう。分析記事も拾っておくと:
もともとのブランド・コンセプトは、“Have a break”である。だが、それをそのまま消費者に伝えたところで、消費者からの反応は乏しい。しかし、それが「きっと勝つ」という言葉に翻訳された途端、消費者は強く反応する。「きっと勝つ」という言葉の中には、受験を控えた若者に対し「強いストレスを解放する(ひと息つく)」という消費者ニーズが隠されていたわけである。これは、マーケターにはすぐにはわからない消費者インサイトである。
(消費者の生活に深く入り込む 「経験価値マーケティング」)
あくまで“Have a break”というコンセプトを崩さず、かつ日本の伝統(試験は「カツ」弁当、合格したら、めで「タイ」ごはん)に乗っけるという素晴らしさ。そういえば、僕の受験の時は母が体調を崩していたのですが、それでも父がトンカツ弁当作ってくれました、ええ(涙)。表現は悪いですが、そういう情緒的な瞬間に商品を押し込めたら強いですよね。どこかのビジネス・スクールがケースを書いてくれたら改めて勉強してみたいです。
- ▼ネタ帳