カジュアル週報によるマネジメント
田坂広志さんの『こころのマネジメント―ひとりのメールが職場を変える』という本を読みました。
この本では、「ウィークリー・メッセージ」といって、週に一度、職場のメンバーがエッセイを送り合う習慣が紹介されています。ルール は3つ。
- プライベートなことでも自由に書いてよい
- 他のメンバーに対する誹謗、中傷、冷笑はしない
- 交換したメッセージを、決して職場以外のメンバーに伝えない
著者はこのシンプルな習慣がもたらす効果を、歩き回って職場の空気を掴むMBWA(Management By Walking Around)になぞらえて、MBEC(Management By Electronic Community)と呼んでいます。
このウィークリー・メッセージに似た試みをどこかで読んだなあ…と思ってここ数日探すともなく探していたのですが、ありました。2005年のパーソナルベスト(ビジネス書部門)でかなり上位にランクしている『ビジネスを育てる』です。パタゴニアが開発した方法として紹介されているのが、「5-15レポート」。『書くのに十五分、読むのに五分以上はかからないので、この名前がついた』とのこと。
この5-15レポートの目次立てはこんな感じです。
- 第一部で、先週その社員が何をしたか報告する。
- 第二部は社員の士気についての率直な記述である。自分の所属部門について書く。
- 第三部は自分の仕事、部門、会社の改善アイデアを一つ書く。
このやり方を採り入れたエスプリのダゥ・トンプキンス社長は、これをMBA(Managing by Being Away - いないままで経営する)スタイルと呼んでいると書かれています。
どちらのやり方にも共通しているのは、「週に一度」「書く」という作業。我々はともすると「膝を交えての会話 >> メールのやり取り」と考えがちですが、文章によるコミュニケーションは単に会話の代替物ではありません。
特に『こころのマネジメント』は、「書く」コミュニケーションの効果について様々な角度から考察しています。興味のある方はご一読あれ。
ところで仕事やプロジェクトとは関係ない、個人的な用途でも、
- 日記ほど頻繁でなく、
- blogよりもパーソナルに、
- 書きながらいろいろ考える
という作業は有用だと思います。そのあたりを以前にコラムとして書いたことを思い出しました。