もしメロスがリスク管理を徹底させられたら
ちょうどひと月ほど前にねとらぼでも話題になった夜中たわしさんのブログの「もしメロスが定期的な進捗報告を求められたら」には職場で大笑いさせてもらった。それで、私も便乗してひとつ。
このところSI業界では大規模なトラブルに懲りて、プロジェクトの開始前(おおむね受注前)にリスク管理部門や品質管理部門からのレビューを受けることを義務付けられていることが多いようだ。そうした背景を踏まえて進捗報告編からさらにリスク管理編をアレンジしてみた。(「走れメロス」については、偕成社文庫3161「走れメロス」(ISBN978-4-03-651610-0)を参考にさせていただきました)
メロスが親友のセリヌンティウスを身代わりに差し出し3日の猶予を得ようとした際に、もしセリヌンティウスから「ひとつだけ条件がある。わが身を差し出すのだ。当然そのプロジェクトについて事前にリスク管理を徹底させてほしい。」などと言われていたらどうなっていただろうか。以下、夜中たわしさんに倣って、ちゃっと風の会話でやってみたい。
メロスは思いました。『結婚する約束はとうにしているし、当事者である本人たちがいれば結婚式はあげられるのに、どうしてこんなメンドクサイことをやらなければいけないのか』そう思いましたが、ここは仕方がありません、友のセリヌンティウスが納得してくれないとこの話は進まないのです。メロスは仕方なく懐から通話石を取り出しLINEで妹に、相手方のご両親の所在と意向を確かめました。←どうして、ここで通話石とLINEが出てくるかって?元の夜中たわしさんのにもノートPCが出てきますし、そこはファンタジーの世界ということで許してくださいw
容赦なくメロスの見積もりの穴をついてくるセリヌンティウス。ステークホルダーに続いてマイルストーンなどという難しい言葉を繰り出してきます。そしてリスク回避のために契約条件の見直しなど一歩的な要求を突き付けてきます。メロスは内心『立場的にそういうこと言える状況じゃないんだけどな』とは思いましたが、そこはぐっと堪えました。
最近の石工では法務担当者まで雇って一言一句チェックするようです。それはそうと、語句の使い方や意味はいざというときに案外重要です。自分に有利になるように使い分けることとしましょう。
当然のことですが今回のメロスの場合、立場的に王様に対して契約条件についえ文句を言える立場ではありません。しかしながらセリヌンティウスは、その条件でないと案件を請けられないと最後通告してきました。しかたがなくメロスは、嫌々ながら条件交渉に乗り出しますが結果、交渉は決裂し、哀れメロスはそのままはりつけにされてしまいます。
まあ、契約にあたりこちら側の関係者に事前に相談もせず、自分勝手に要件を約束して見積もりを出したメロスは完全にルール違反なわけで、一昔前ならこういう「焼き畑営業マントーク」も許されたのだろうが、今どきはそうはいかないということだ。
夜中たわしさんのような秀逸なオチは思いつかなかったので、そのまま「羹に懲りてしたし物を吹きすぎて」石工所が経営難に陥ったことにでもしてください。
おわり。