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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

どんなユーザがいるかわからないことには、情報共有やアクセス管理はできない

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 NECから「IDと人事DBの整合性をチェックするミドルウェア」というのが発売されるようだ。実際こういうミドルウェアのニーズは高まっていると思う。実際に先日にはマイクロソフトの類似ツールの紹介記事も出ていた。

 情報共有系のインフラについてのコンサルティングに携わっていると顧客からグループウェアでのユーザ毎のアクセス権管理であるとかイントラネットの社内ホームページ上の各コンテンツの閲覧制限などを行いたいというニーズを良く聞く。ところがそういう顧客のうち半分くらいは「実は社内のユーザマスターがいくつあるかわからないのです」とか「ユーザマスター間の整合性の確認は取れません」なんて状態だ。中には「グループウェアにいくつIDが登録されているかわかりませんし誰がいるかもわかりません」なんて信じられないほど酷い話も聞く。IDまでは管理できていてもIDをロール(役割)単位にきちんとまとめて整理している中小企業はまだ少ない。

 そういう時は結局、グループウェアだとかインフラの構築の前にユーザマスターの棚卸しとそれらの連携モデルの構築、そして実際の連携システムの導入を先にやらざるを得ない。その際には、社内の規程やルールに沿ってユーザを役割毎立場毎にいくつかのロール(役割)というグループに分ける作業を行う。そしてそのロール単位に今度は各情報へのアクセス可否を決めていく。
 最近こうした作業を何度もやっているが結構骨である。口頭では「派遣社員に見せる情報は●●」とか「この情報は役員にだけしか見せられない」と答えられる人は多いが、さらに一歩突っ込んで「パートや嘱託は派遣社員に含めるのか?」とか「派遣社員の名簿は誰が管理しているのか?」と聞くといきなりつまってしまうのだ。「役員って具体的に誰?」というのも、最近は相談役やら執行役員やらいろいろな肩書きがあって実は結構曖昧だったりする(笑)

 こうした確認作業を地道にひとつひとつやって整理した結果は最終的にはEXCELシートなどに纏めて、それをディレクトリやグループウェアに設定する。たいていここまでが外部のコンサルタント&エンジニアである我々の請負範囲だ。

 だが実は作業はこれで終わりではない。しばらく時間を置いた後に設定した内容がちゃんと更新・維持されているかを確認したり検証したりする必要がある。こうした運用作業はユーザにやっていただくしかないのだが、これを手作業でやっていてはたまらないという話を良く聞く。だから冒頭のミドルウェアやツールのようなものを彼らは待ちわびている。

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