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もしも洞察力があったなら……。

Rush Fifty Something Tour 2026@Toronto

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大変個人的な趣味趣向の話でありますが、
私が最も好きなロックバンドは、1974年にデビューしたカナダはトロント出身の3人組、「Rush」(ラッシュ)です。

初めて聞いたのは香港で暮らしていた中学校2年生、1983年の終わりころ。友人から借りたレコード「Moving Pictures」です。
A面1曲目の「Tom Sawyer」を聴いたとき、全身に戦慄が走りました。
以降、「Exit...Stage Left」、そして「Fly by Night」、「Grace Under Pressure」、「Signals」、「Hemispheres」、「Permanent Waves」、「A Farewell to Kings」、、、などと買い、聴き漁り始めました。

すっかりファンになってもうかれこれ44年も経ちます。

彼らは1度だけ、1984年に来日したことがあります。
もはやマニア間では伝説の「武道館ライブ」。
私は、国外にいたために観ることが叶いませんでした。
そしてそれ以降、Rushが日本にライブのために来たことはありません。

私のこの人生の「なすべきことリスト」の上位に
「いつかRushのライブを体験すること」が存在し続けていました。

だがしかし、Rushを長年支えてくれた中心的メンバーであった、
敬愛するドラマー「ニール・パート」が重い病気を患い、
2020年に他界をしてしまいました。
最後のオリジナルアルバムは、2012年に発表した「Clockwork Angels」。

事実上、このバンドは解散をしてしまったのです。

残されたGeddy Lee(B, Vo, Key)、そしてAlex Lifeson(G)はニールが他界後、
哀しみの時を約5年過ごしました。

でも彼らは気が付いたそうです。
やっぱり僕らはライブやりたいよね。と。

そして、ドイツはマンハイム出身の女性ドラマー「Anika Nilles」を起用し、「結成50数年ツアー」(fifty something tour)を組むことになりました。その発表は2025年。

かつて、事実上のバンド解散となった2020年までは、
いつか彼らのコンサートを観にいけるだろう、
とタカをくくっていた私。

さすがに今回が最後のチャンスかもと、意を決して昨年10月、
「場所はどこでもいいからチケットを確保する」つもりで
午前一時の発売タイミングを見計らってチケット販売サイトにログインをしました。
しかし、とれなかったのです。

いえ、正確にいえば、初回ログインした時にすでに手が届く値段の席は完売だったけど、
20万円ほどの高額チケットはあった。けど、そんなの買った経験がない私は躊躇しました。

逡巡して、考えて、ようやく、高くてもとるか!?
と再度ログインをし直した時には
すべて売り切れとなってしまっていたのです。

強い落胆と共に、私はあきらめてしまいました。

あまりもの落胆のため、しばらくの間、Rushを聞くことさえやめてしまっていました。
いっそのことファンをやめて、嫌いになってしまえば楽になると思ったのです。

時を置かず、新卒で勤めた会社の仲間が京都に遊びに来てくれました。
フレンチ風のカフェで長話をしていた時にふと、最近起きた「Rushのチケットが取れなかった」落胆エピソードを吐露したのです。すると、その仲間から説教されましてね。
「たまちゃん、本当に好きなら、どんな手を使っても追いかけるべきだよ。」

心がだいぶ揺らいだのです。
でも、なす術ナシだった。

そのやるせない気持ちを内に隠して年を越して
迎えた初夏のある日

高校の寮生活の際にしょっちゅう部屋に遊びに来ていた
同級生のスミオが連絡をくれました。

「おい、僕の知り合いでRushのチケットを譲りたいというヒトがいるんだ」
「!!!!」
「場所は、トロント、8月13日。どうする?」
「ちょっとまって、トロント!?1日考えさせて!」
半分くらい混乱していた私は、冷静に検討すべきと理性が働き、1日よく考えた末に
「買う!行く!」
と返事をしました。

そう。Rushのコンサートを、彼らの故郷で観ることの天啓。

その後、デジタルチケット譲渡の公式な手続きを経て、
その権利を入手できたのです。
たまたまですが、譲ってくれた方は、
直接の面識はないものの、昔の職場の同僚でした。

その喜びをSNSでつぶやいたところ、
ほどなく、ダンという別の同級生からメッセージをもらいました。
「タマ!俺もその日、行くよ!」と。

外国でコンサートを見るためだけに、
ほとんどファンがいない日本から、
同じ場所に、同じ日に、同級生が。そんな偶然。。。

8月13日のトロントは、
単に大好きなバンドのライブを見に行くという個人的なエゴが形を変えて、
ダンと現地で再会する、という約束にも進化しました

8月12日、カナダ航空の直行便でトロント入りをし、
その夜にダンとその奥様と再会。
久しぶりにビールを飲みかわしました。

どうしてもツアーTシャツとキャップが欲しかったので翌日早めに、
グッズ販売会場に並んだ。だいぶ早く並び始めたので、
一緒に並び始めたファンたちと手当たり次第に仲良くなった。
トロント地元も多かったが、聞けばUK、ドイツ、オーストラリア、
アメリカやシンガポールから来た人たちもいた。

皆さん、優しくていい人ばかりだった。

いちばん目当ての、ツアーTシャツは、Lが売り切れで、2XLしかなかった。小太りだったとしても、大きい。けど、構うものか。どうせ大事にしまってしまうし、洗濯すれば縮むかも。合計金額を確かめるのが嫌だったけど、Tシャツ2枚、帽子、バンダナ、トートバッグを入手した。

2XLのシャツはその場で着た。

グッズ販売に列をなしている他のファンたちに向かって
「このシャツは2XLしかないんだけど、どう思う!!!???」と尋ねたら

「問題ないよ!」「よく似合っている!」「洗濯すると縮むよ!!!」と称賛と激励の言葉を口々にもらった。みんな笑顔で楽しそうだった。きっと僕も満面の笑顔だったのだろう。

ライブは素晴らしかった。
レコードやCDは全部持っているし、DVDもたくさんある。

けど、生は違った。
これほどプライスレスな体験はない。
もういつ天命が尽きてもよいとさえ思った。
泣いた。

彼らは殆どの演奏を3人で行う。
サポートのキーボードがいたので、ステージには4人並んでいる。

これはファンの間では究極の禁句なのだが
演奏はもう本当に素晴らしい一方、「音楽」としては完ぺきではない。
Geddy Leeの生ヴォーカルの様々な意味での限界がどうしても付きまとう。
でもそれは、いいのだ。それで、いいのだ。それが生Rushなのだから。

19:30から開始して、23:00頃までの約3時間半。
(実演奏は19:45-22:50頃。途中20分の休憩)
私は、燃え尽きた。

一人、ホテルで、Rushビールで祝杯をあげました。

余談。
12時間の帰途便を経て羽田に降り立った時に
Rushのロゴが入ったTシャツを着ている方を見かけたので
思わず声をかけてしまいました。
その方はRushのライブを見に行くのは初めてではなかったという、
筋金入りの同好の士。

いつかまたRush談義をしたいという約束だけして
私の夏休みは幕を閉じた。

私にRushを出会わせてくれた中学同級生のハンペンとパブ
説教してくれたRさん、その時一緒にいたMさん
チケットを譲ってくれたYさん、その間を取り持ってくれたスミオ、
トロントで素晴らしい時間を共有してくれたダンと奥様、
そのほか友人仲間同僚家族パートナーなど

背中をたくさん押してくれて、
幸せな夏へと誘ってくれて

ありがとう。

*ダンは本名で、日本人です。スミオはほぼ外国人です。

RUSH
Fifty Something Tour 2026
August 13th, 2026
at Scotiabank Arena
Toronto, Canada

<First half>

Xanadu
Limelight
Subdivisions
The Pass
Freewill
Bravado (Neil Peart tribute)
Camera Eye
The Trees
The Anarchist
The Spirits of Radio

<Second Half>

2112
Far Cry
New World Man
A Farewell to Kings
Time Stand Still
Vital Signs
YYZ
The Garden
Tom Sawyer

<Encore>
By-Tor & the Snow Dog
Working Man

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