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Web2.0が企業内に浸透しない理由

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 昨日はとある会合でEnterprise2.0について話してきた。聴衆は大企業の情報システム部門で主に企画を担当している人や意志決定を行っているCIOの方々。私のプレゼンに続けて、手嶋屋の手嶋社長からSNS、マイネット・ジャパン上原社長からソーシャルブックマーク、エビリー中川社長から動画共有サービスの企業内での活用について紹介があり一部はデモもあるという盛りだくさんの構成だった。
 で、会合の終わった後の懇親会でこうしたEnterprise2.0系のツールの導入や検討状況についてちょっと聞いてみた。予想していたとおり、多数の企業ではEnterprise2.0というかWeb2.0への取り組みはまだまだのようだ。その理由をいろいろ聞いて回ったところ出てきたのは、

  • SNSやブログといった社内コミュニティは、維持や運営の負担が大きい
  • 社内で日記を書く効果がわからない(他人の昼飯の話を聞いて何が面白いか判らない)
  • うちの会社の社員には情報発信する内容がない
  • 顧客を巻き込んだSNSの場合、荒れたときに悪評が立つというリスクが気になる
  • 内部統制やコンプライアンスへの対応だけで精一杯新しい事をやる暇がない
  • グループウェアの維持管理だけで手一杯
  • うちの社員にはその分野に詳しい人材がいない
  • 今日初めて知ったのでこれから勉強します
  • ツールの具体的なイメージがわかない
  • 動画は何に使えばよいか判らなかった(これは中川社長からのプレゼンで氷解したそうだ)

などなど。Enterprise2.0元年なんて騒がれているけど、まだまだ前途多難だ。

 特にWeb2.0系の技術に詳しい人材不足は深刻なようで、企業の情報システム部門のみならずSIerにも未だに、ソーシャルネットワークには参加した事がない、Web-APIって何?、マッシュアップってキノコか何かですか?、なんて人が大勢いる。私にも数年目にうちの会社を辞めてユーザの情報システム部門へ転職した昔の同僚(コンサルタント)と数ヶ月前に飲んだときに「セカンドライフって知ってる?」って聞いたところ「なにそれ?もう老後の第二の人生を考え始めてるの?」というあまりにもベタな反応が帰ってきて閉口してしまった経験がある。

Way_web20 NetStrategyの調査によると、欧米で企業でWeb2.0系ツールを導入しない理由の最も多い理由は「組織風土がまだ未熟」というものだそうだが、日本の場合は「情報システムの意識/経験がまだ足りない」のほうが多くなりそうだ。(スライドの出所はここ

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