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人検索と人力検索

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 年末に「秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログ」を始めいくつかのブログでも取り上げられていた、Mashale主催の「Open Web Awards」の結果{表参照}を眺めていた。提携ブロガー投票と読者投票で結果が違うのが面白い。

 それでふと気付いたのだが、ソーシャルサーチの部門の読者投票ではSNS系のサービスである「Facebook 」が選ばれているのだ。

  ブロガー投票 読者投票
メインストリームおよび大規模ネットワーク Facebook  Netlog 
アプリケーションおよびウィジェット Flock WidgetBucks 
ソーシャルニュースおよびソーシャルブックマーク digg  digg 
ソーシャルサーチ Mahalo Facebook 
スポーツおよびフィットネス ESPN sportme 
画像共有 flickr VOIS 
動画共有 YouTube Kaltura 
スタートページ netvibes iGoogle 
プレースおよびイベント meetup MySpace 
ミュージック last.fm Pandora 
ソーシャルショッピング woot! Zlio 
モバイル twitter Google Mobile 
ニッチおよびそのほかのソーシャルネットワーク FilmCRAVE CafeMom 
 

Mashaleは以前にソーシャルサーチ関連サービスとして40あまりのサービスを紹介した際にも、ソーシャルサーチを人力検索(People Powered Search Engines)と人検索(People Search Engines)の2つに分けていた。今回の投票結果では、提携ブロガーのほうは最近注目されているMahalo、読者投票のほうではFacebookという結果なので、どうもブロガーは人力検索、読者は人検索に注目したらしい。

 Mahaloについては、Social Networking.jpの「Googleキラーとも言われる「Mahalo」を徹底的に使ってみた」というエントリーに詳しいので参照して欲しいが人手によって検索結果の信頼性を向上するという人力検索系である。読者投票のほうは最初にいくつかのサービスを候補として提示した後に3つの最終候補に絞って投票を行ったようだが、ソーシャルサーチでFacebook以外に最終選考に残ったのは「Copenda」「Wink」の2つらしく、この2つも人検索系である。

 何かを調べるときに「人に聞く」というのはかなり有効な方法だ。知りたいこと、やりたいことに詳しい人を捜して教えを請えば目的によりたどり着きやすくなる。だから日本でも「はてな」や「Yahoo!知恵袋」「教えて!Goo」などは便利なサービスとして認められている。これに対して米国では「Google Answers」が失敗したようにこれまでも人力検索系はあまり成功していないようだ。今回の投票でも読者投票では人検索ばかり支持されたというのは面白い。

 これは両国の仕事のやり方の違いなどに起因するのかもしれない。以前誰かが書いていたが、米国では新しい業務を始めようとしたときはそれに適した人材を外部から雇ってきて担当させるという業務は人につくことが多いようだ。これに対して、日本では業務は組織につくので、組織の中で担当になった人がその新しい事に対して勉強したり引き継ぎを受けたりする形式になるほうが多い。確かに前者であれば人検索、後者には人力検索のほうが合致しやすい。

 もっとも「Open Web Awards」の投票結果を見ると、例えば動画共有の分野では、共同作業で動画を編集していくことを特徴としたKalturaがYouTubeを押しのけて選ばれているように、ブロガーに比べて読者のほうがブームというか今後の流れを先取りしている可能性もある。
 
 年末に「人検索が注目されている模様」というタイトルで日本での人検索系の新しいサービスについてちょっと書いてみたが、最近は多少変わってきたとはいえ人材流動性が低く外部の専門家やコンサルタントから助言を受ける風土もまだまだ薄い日本で今後「人検索」がどれくらい定着するかは見守っていきたい。

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