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ブログマーケティングで効果があるのは比較と検討段階

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 きょこ コーリングの「ブロガーの効果」で紹介されていた「有力ブロガーだけに情報を提供しても口コミ効果は生まれない」という記事を読んだ。結論としては別に違和感はないし納得できる。ただ以下の一節が気になった。

しかし、皆さんが期待されているような、爆発的に数多くのブログの内容に連鎖的で同時多発的にその製品が紹介されるようなバズ、バイラルと言われる現象は、よほど画期的な製品でもない限り、残念ながらあまり見たことはありません。

 藤田さんの指摘にもあるように、ブログマーケティングを使ってブームを起こすのは多分無理だと思う。ターゲットとする商品にもよるが、それがもしマス向け場合の場合はこのコラムの最後にあるようにマスコミを使ったほうが有効なのはほぼ間違いない。でも未だに、ブログを使えば一大ムーブメントが簡単に起こせると思っている人は多いようだ。

 以前からブログマーケティング(CGMを使ったマーケティング)に対して思っていることに、ブログ(CGM)マーケティングは、消費者の購買行動のプロセスモデルの中の最初であるAttentionに適用しても効果は余りないだろうということ。ブログ(CGM)マーケティングは、AISASでいうなら真ん中のS(Search)、AISCEASでいうならS(Search)およびC(Comparison)とE(Examination)のフェーズでこそ真価を発揮すると思う。
 
 実際日本のCGMで有名なサイトの一つ「価格.com」でのユーザの書き込みなんて明らかにC(Comparison)のフェーズで使われているし、私もブログなどの書き込みを捜すのは「何がはやっているか?」ではなく「その何かについての詳しい情報」を捜すときだ。

 既にブロゴスフィアは相当に大きくなり、ブロガーが取り上げる話題は多岐にわたりそれが日々膨大な量で流れていく。だから全体でみれば数名の有名ブロガーに取り上げられてもその割合はたかが知れた程度にしかならない。ひとつのアルファブロガーに絞ってみても、彼らは、ある日は新しいソフトウェアの紹介、次の日は新しいがジェットの感想、その翌日はブログ界全般に関する論評など、語るテーマをどんどん変えていく。そして読み手側も既にこうした状態に慣れてきており、自分に興味のない分野の記事はどんどん読み飛ばしていく癖がついている。
 
 だからAttentionのフェーズで効果を狙うなら、ブログより物量にものを言わせたマスメディア広告のほうが効果が高いと私も考える。

 例外はニッチ市場向けの製品で、購入する消費者がある程度限られるケースだろう。ブロゴスフィアが拡大したおかげで今やどんなニッチ市場でもインフルエンサーとなるブロガーがいる。そしてニッチになればなるほどそこにいる消費者は新しい情報に餓えており、情報を入手するためにこうしたインフルエンサーのブログをRSSリーダーなどで細かくチェックしている。
 だから、ターゲットがある程度明確なニッチ市場の向けの製品をこうしたインフルエンサーを使って宣伝したり、初期段階でブロガーからのフィードバックを得て改良するというのであれば、ブログ(CGM)マーケティングはかなり成功率が高いのではないか。

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