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ナレッジマネジメントが永遠の課題だと思う所以(2)

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 先日の続きで、ナレッジマネジメントが永遠の課題だと思う理由について。 先日書いた2つの理由のうちのもうひとつの共有すべき情報(知識・知恵)が多種多様でありすぎる事のほうについてもちょっと書いてみたい。

 何度かこのブログでも書いてきたように組織の中で共有や流通させて効果のある情報(ナレッジ)はまさに千差万別だ。その組織で情報共有させたい情報や情報流通させることで効果が出る情報というのは組織、業務、風土その他の事情によって都度異なる。
 コアナレッジは例えば、提案書や報告書といった文書であったり、顧客情報や案件情報のような属性的情報の蓄積と共有が効果をもたらす組織もある。時には気づきのような些細なアイデアであることもある。こういった情報を我々はコアナレッジと呼ぶ。

 そしてこの共有したい情報の種類によって、それを扱うのに適したツールが変わってくるのだ。文書系であれば文書管理データベースやそれと連携したKnowWhoデータベースが有効だし、顧客情報や案件情報の蓄積であればCRMやSFAだろう。アイデアなどを表出/流通させたいのであれば、フォーラムやブログのようなより柔らかいプラットフォームを提供するとユーザの参加が活発になりアイデア発露のチャンスが広がる。コールセンターのような受身の業務が多い場合はQ&AシステムやFAQの整備が有効だし、業界知識や業務プロセスに関する処理知識など比較的一般化された知識がコアナレッジなのであれば、それらを教材化したeラーニングも良いだろう。こうした情報共有や情報流通のための仕組みは、ベンダーの努力によって日々進化し次々と発表されてくる。

 このコアナレッジを見つけ出す作業とそれに適したツールを探し出し、最後にそのツールの運用方法をその組織に合わせた形で考えるのが、われわれコンサルタントの仕事なのだが、この組み合わせがあまりにも多様で複雑だ。しかも情報共有の仕組みは導入してみないと組織の反応が読めない部分もあって、どうしてても試行錯誤の部分は残る。だからある組織に最も適した組み合わせを見つけるというのは、非常に手間と時間のかかる作業になる。
 そしてコアナレッジは組織によって異なるだけでなく同じ組織内でも業務が別になれば変わって来る。また前回書いたように同じ組織同じ業務でも組織の成熟段階などによっても変化する。だからある時にある組織で最適であった組み合わせが、他のところでまったくそのまま使えるということは少なく、結局その時々にあわせて都度検討し直さないといけない部分が多くなるのだ。

 かくして、情報共有や情報流通の試みは常に新しい組み合わせを追うことに近くなり、いつでもどこでも新しい組み合わせを試し、たとえ良い組み合わせが見つかったとしても、更に良い組み合わせが無いかを捜す必要に迫られてしまう。

 やはりナレッジマネジメントは永遠の課題だと思うのだ。

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